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MLB

不本意な形でクビになったとしても……アルバート・プーホルスの輝かしいキャリアを振り返る

宇根夏樹

2021.05.13

21年のプロ生活で、数々の実績を積み上げ続けてきたプーホルス。今後どうなるとしても、殿堂入りすることだけは確実だ。(C)Getty Images

21年のプロ生活で、数々の実績を積み上げ続けてきたプーホルス。今後どうなるとしても、殿堂入りすることだけは確実だ。(C)Getty Images

 現地時間5月7日にエンジェルスをDFAとなったアルバート・プーホルスは、退団後も現役続行を希望している。実現するかどうかは分からないが、このまま引退しても最初の投票で殿堂入りすることは間違いない。プーホルスの実績は、殿堂選手(と実績だけなら殿堂にふさわしい選手)と比べても極めて上位に位置する。

▼3000安打600本塁打600二塁打は史上2人だけ
 プーホルスは通算3253安打と667本塁打、669二塁打を記録している。いわゆる3000-600-600をすべて達成しているのは、ハンク・アーロンとプーホルスだけだ。また、プーホルスの2112打点は、アーロン(2297打点)とベーブ・ルース(2214打点)に次ぐ数字だ。

▼まるで機械のように優れた実績を残し続ける男
 メジャー1年目の2001年に打率.329、37本塁打、130打点、OPS1.013で新人王を獲得したプーホルスは、翌年以降も驚異的な打棒を発揮し続け、“ザ・マシン”と称された。最初の10年は、打率.300、出塁率.390、OPS.950、30本塁打、30二塁打、100打点をすべてクリア。たとえキャリアの途中からでも、この6つを欠けることなく10年続けた選手は他に誰もいない。11年目以降も、30本塁打と100打点はそれぞれ4度を数える。しかも、全盛期のプーホルスは、打つだけの選手ではなかった。06年と10年に一塁手としてゴールドグラブを受賞し、05、09、10年は15前後の盗塁を決めている。まさに走攻守三拍子そろった選手と言って良く、総合指標WAR(Baseball Reference版)では05~09年に5年連続1位となっている。
 
▼2000年代の“ディケイド三冠王”
 プーホルスが01~09年に残した通算成績は、打率.334、366本塁打、1071打点。これはこの10年でそれぞれ1位、3位、2位に相当する(打率は3000打席以上)。ナ・リーグに限れば、プーホルスはいずれも1位の“ディケイド三冠王”だ。この偉業は、1900年代のホーナス・ワグナー(ナ・リーグ)、1920年代のロジャース・ホーンズビー(ナ・リーグ)、1940年代のテッド・ウィリアムズ(ア・リーグ)に続く史上4人目。ちなみに、2010年代の打率.268は102位ながら、290本塁打は4位、963打点は1位だ。

▼MVP3度&ワールドシリーズ優勝2度は……
 プーホルスは、05、08、09年と3度MVPに輝いた。加えて、プーホルスは、06年と11年にワールドシリーズ優勝も経験している。個人としてもチームとしても“頂点”をそれぞれ2度以上極めた選手は10人を超えるが、地区制が始まった1969年以降に世界一2度以上は、ジョー・モーガンとジョニー・ベンチとプーホルスの3人しかいない。94年の3地区制以降に限ればプーホルス一人だけだ。ワールドシリーズを勝ち抜くだけなら運の要素も絡むが、プーホルスはプレーオフでも実力を発揮している。通算OPSはレギュラーシーズンの.921に対し、ポストシーズンは1.030。ワールドシリーズの16試合も.968と高く、11年の第3戦には3打席連続ホームランを放っている。通算90安打は歴代8位、19本塁打は歴代4位の数字である。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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