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プロ野球

【オリ熱コラム2021】交流戦好調のオリックス宗佑磨、「正尚さんに回せば何とかなる」つなぐ気持ちでチームに貢献

どら増田

2021.05.31

ギニア出身の父を持つ宗。恵まれた身体能力が大きな魅力だ。写真:産経新聞社

ギニア出身の父を持つ宗。恵まれた身体能力が大きな魅力だ。写真:産経新聞社

 オリックスの三塁手・宗佑磨が交流戦に入り、主に2番打者として打率.417と好調だ。シーズン通算打率も.282まで上がり、得点圏打率.363、OPS(出塁率+長打率)は.813と勝負強いところを見せている。

「僕はちゃんと打てないので、(吉田)正尚さんに回すことしか考えてません。とにかく正尚さんに回せば何とかなるので、四球でもいいから塁に出てつなぎたい」

 もともと選球眼に長けていた宗だが、今年はここまで12四球、6死球を記録して出塁率.363の高水準を維持。宗が出塁し、チャンスメイクする形が出来上がりつつある。打順が下位であっても、主軸の吉田正や杉本裕太郎に打席が回り、得点につながることが多くなった。出塁への意識はかなり強く、四球を選んだ際には軽くガッツポーズを握ることもあるほどだ。

 ただ、宗は「自分自身、まったく好調とは感じてません。練習では、自分の体の調子とセンター中心の打撃を心がけています」と謙虚な姿勢を崩さない。そこには「まだまだチャレンジしていきたい」というさらなる野心も伺える。

 4月30日のソフトバンク戦でサヨナラ打を放った際も「粘って四球で後ろにつなぐ気持ちでいました。しっかり状況を考えて、チームのために自分が出来る最大のパフォーマンスを謙虚にやっていきます」と話していた。打席での集中力が増し、最近はスタンドから見ていても「何かやりそう」な雰囲気が出てきた。
 

 現在は外野手登録だが、もともとは内野手として2014年ドラフト2位で入団した選手。今年のキャンプでは怪我で出遅れたものの、オープン戦終盤に一軍へ昇格し、開幕戦は「8番・三塁」でスタメン入りを果たした。「守備も毎球気持ちを引き締めて臨んでいる」と語るように、打撃だけでなく守備の意識も高く、ファインプレーを連発して投手陣を援護。攻守にわたる活躍で、なかなか定まらなかった正三塁手のポジションを手に入れようとしている。

 奇抜なヘアスタイルや感情を表に出したプレーで、ムードメーカーとしても貢献。「みんなでつないでいく」という現在のチーム方針を誰よりも理解し、実践しているのが宗なのかもしれない。

 毎年、怪我に泣かされてきた印象が強いが、誰もが羨む身体能力の高さで難局を切り抜けてきた。今までサポートしてくれた人たちへの「感謝」の気持ちと「謙虚さ」を胸に、数多くいる若手選手の筆頭格として、チームを引っ張っていく。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。

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