専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

ストレートの球速は球界トップクラスだが空振り率は…佐々木朗希、プロ最初の2登板で見えた「収穫」と「課題」<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.05.28

高校時代は一度も立つことができなかった甲子園の舞台でプロ初勝利を挙げた佐々木。写真:産経新聞社

高校時代は一度も立つことができなかった甲子園の舞台でプロ初勝利を挙げた佐々木。写真:産経新聞社

“令和の怪物”佐々木朗希(ロッテ)が5月27日の阪神戦でうれしいプロ初勝利を挙げた。サンプル数はまだ少ないが、ここまでの2登板で見えてきた「収穫」と「課題」をデータ面から掘り下げていこう。
【動画】令和のスーパースター対決!佐藤輝明が佐々木朗希からタイムリーを放つ

 まず、「収穫」として挙げられるのは、持ち前のパワーピッチングを堂々と展開している点だろう。投球全体の実に3分の2に相当する65.7%がストレート。しかも、平均球速は151.2キロに達している。ちなみに現在、規定投球回以上の投手で平均150キロを超えているのは山本由伸(オリックス)だけ(151.2キロ)。まだ2試合とはいえ、佐々木はすでに球界屈指の速球派投手と呼べるだけのスペックの高さを示している。

 スライダーの質の高さも際立つ。ここまで24球投げて被打率.000、空振り率は28.9%。これもまだ2試合なので一概には比較できないが、スライダーで20%以上の空振り率を記録している規定投球回以上の投手は大野雄大(中日)しかいない。フォーク、スライダーと、決め球として使える球種が複数あれば、投球の幅は大きく広がっていくだろう。
 一方、ストレートには課題も見えた。プロ初登板となった5月16日の西武戦では71球投げて8つの空振りを奪ったが、昨日は61球でゼロ。2試合での空振り率は6.1%に過ぎず、スピードは十分出ている割には少ない印象だ。2ストライク後に打率.280(25打数7安打)と打たれているのも、ストレートで思うように空振りを奪えていないことが影響している可能性がある。

 コース別投球割合を見ると、外角が60.7%で、内角は19.4%。外角への投球割合はチームで2番目に高く、内角は最も少ない。映像を見ると、内角に行った場合でも逆球のような形が多い。これは捕手のリードにも関連するが、ただでさえストレート中心の配球でコースも外角に偏るとなると、相手打者も的を絞りやすくなる。このあたりも今後の改善ポイントかもしれない。

 これまでの分析をまとめると、以下のようになる。

【収穫】
・臆することなく真っ向勝負を展開
・ストレートの球速は球界トップクラス
・スライダーの空振り率も優秀

【課題】
・ストレートの空振り率が意外に低い
・2ストライク後の被打率が.280と高い
・配球が外角一辺倒で的を絞られやすい

 もちろん、まだ高卒2年目の19歳。今は結果ばかりを求める時期でもない。いずれ世界の舞台で活躍するだけの素質を備えた「球界の宝」だけに、焦ることなく大きく育ってほしい。

構成●SLUGGER編集部
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号