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プロ野球

必然だった“外れ外れ1位”・宮城大弥の大活躍。佐々木朗希と奥川恭伸を高校時点で上回っていた能力とは?

西尾典文

2021.06.16

今季大ブレイク中の宮城。高校時代から見せていた才能の片鱗を振り返る。写真:滝川敏之

今季大ブレイク中の宮城。高校時代から見せていた才能の片鱗を振り返る。写真:滝川敏之

 ルーキー以外の若手で、今季最もブレイクした選手と言えば、宮城大弥(オリックス)になるだろう。
 
 高卒2年目ながら開幕ローテーション入りすると、ここまで6勝1敗、防御率2.31と見事な成績を残している。WHIP(投球回あたりの被安打と与四球の合計)0.83は、規定投球回数に到達している投手ではダントツでトップになっているという点にも、今季の凄さがよく表れている。

 そんな宮城は2019年のドラフト1位でプロ入りしているが、石川昂弥(中日)、河野竜生(日本ハム)を抽選で外した後の、いわゆる“外れ外れ1位”だった。この時点ではいきなり複数球団が1位入札した佐々木朗希(ロッテ)と奥川恭伸(ヤクルト)、また奥川の外れ1位だった西純矢(阪神)と比べると評価は低かったということになるが、その理由の一つは身体的なスケールのなさだ。

 佐々木は190㎝、奥川と西は184㎝という長身なの対して、宮城は171㎝とプロ野球選手にしてはかなり小柄な部類に入る。同じオリックスの先輩である山本由伸も180㎝に満たない身長が4位という評価につながった一因と見られているが、投手については特に上背を重視する傾向がここでも出たと言えるだろう。
 
 それでも同世代では現時点で出世頭となっているわけだが、高校時代から宮城には突出していた能力があった。その一つが変化球だ。宮城の評価が大きく上がったのが3年春に出場した九州大会。110キロ台の大きな曲がりのカーブ、120キロ前後のチェンジアップ、120キロ台後半のスライダーを完璧に操るピッチングは、とても高校生とは思えないレベルのものだった。

 最近では高校生でも多くの球種を操る投手は増えている。しかし、上のレベルで使えるボールとなると難しく、宮城のように3種類の変化球すべてが高レベルというケースは滅多にない。奥川も同年夏の甲子園ではスライダーを武器に三振を量産したが、プロでは曲がりの速さから見極められることが多く、佐々木も変化球のコントロールはまだ万全とは言えない。「プロで勝つ」には、いかに変化球の質と精度が重要かということが、宮城を見ているとよく分かる。

 そして、もう一つのアドバンテージがフィジカル面の充実だ。宮城の身長は、高校1年時の甲子園の大会誌では173㎝という数字が残っており、早い段階で伸びが止まっていたことは確かだろう。一方で体重は、この時と比べると10㎏以上も増している。

 身長が伸び切らないうちに高い負荷をかけるトレーニングを行なうことは危険と言われているが、宮城は早熟がゆえに早い段階から筋力アップに取り組むことが可能になり、そのことがボールのスピードや技術面のプラスにつながったという側面もあるだろう。

 プロ野球人生は始まったばかりであり、今後も宮城が世代の先頭を走り続けられるかはまだまだ未知数だ。それでも、現在のピッチングを見ていると、今後も長くチームの主戦として活躍できるだけの能力を備えているように感じる。

 もはやオリックス、パ・リーグだけでなくプロ野球を代表する左腕と言っても過言ではないだろう。上背のない投手に勇気を与えるという意味でも、今後さらにレベルアップして球界を牽引する存在となることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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