現地時間6月21日から、メジャーリーグは新たなルールが実施されて大きな話題を呼んでいる。いわゆる“不正投球禁止ルール”だ。
6月になってMLB機構は、暗黙の了解とされていた投手の松ヤニ使用を含む粘着物質使用に関して禁止する意向を表明。従来のようにグリップ力を高めるためであれば、グレーゾーンだったが近年、ボールの回転数などを故意に上げているとされる事例があり、また今シーズンのノーヒッター乱発&歴史的低打率が後押しして本腰を入れたという流れだ。
しかしこれには、投手側から批判が続出。例えば、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)は度を超えた違反行為は論外としつつも、そもそもMLBの公式球が滑らなければ問題は起きなかったとして、根本的原因の解決をすべきと声を上げた。他にも豪腕タイラー・グラスノー(タンパベイ・レイズ)は、シーズン途中に急にルール変更を強いられたことで投げ方を変えた結果、右ヒジを損傷。MLB機構のやり方に怒りをぶちまけた。
一方、“得する”であろう打者側からも新ルールには不満の声が出た。2019年にMLB新人歴代最多53本塁打を放った大砲のピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)は「どんな滑り止めを使ったっていい」とコメント。その理由にしっかりコントロールされた球を投手が投げてくれない危険だとして、自らの安全を守るために反対の立場だ。
そうした厳しい意見が多く投げられているなか、2016年ナ・リーグMVPのクリス・ブライアント(シカゴ・カブス)は、かなり“刺激的”な言葉で賛成の立場を取っている。
記者から新ルール導入について訊かれたブライアントはまず、「審判たちが確認作業で投手にかけるようになって、彼らにはちょっとした運動になったんじゃないかな(笑)。面白いね」と軽くジョークを交えると、表情を変えて語り始めた。
「俺たち打者が本当にバカだったんだよ」
そしてダルビッシュの元チームメイトはこう続ける。
「『ああそうだね、(粘着物質を使うことは)コントロールするためだもんな。俺たちもぶつけられたくないし』。でも気づいたよ、そんなのは投手の言い訳にすぎないってね」
ブライアントが言うには、MLB機構の調査の結果、選手の安全性と異物使用の相関性はなかったという。しかし一方で、ボールの回転数と変化量増加には関連性があり、つまり得しているのは投手側だけとのこと。だから最後に、きっぱりと言い残している。
「今までのやり方が変わることはうれしいね。もしぶつけられても、出塁率が上がるしさ」
これまでの歴史を本当の意味で一からひっくり返すという意味でも、今回の新ルール導入は転換点となる。果たして最後に笑うのは、投手か野手か。球界全体が“幸せ”になることが本当は望ましいはずだが……。今後の動向から、まだまだ目が離せない。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】大投手シャーザーはイニング途中に“強制捜査”! ブチ切れながらベルトも外し…
6月になってMLB機構は、暗黙の了解とされていた投手の松ヤニ使用を含む粘着物質使用に関して禁止する意向を表明。従来のようにグリップ力を高めるためであれば、グレーゾーンだったが近年、ボールの回転数などを故意に上げているとされる事例があり、また今シーズンのノーヒッター乱発&歴史的低打率が後押しして本腰を入れたという流れだ。
しかしこれには、投手側から批判が続出。例えば、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)は度を超えた違反行為は論外としつつも、そもそもMLBの公式球が滑らなければ問題は起きなかったとして、根本的原因の解決をすべきと声を上げた。他にも豪腕タイラー・グラスノー(タンパベイ・レイズ)は、シーズン途中に急にルール変更を強いられたことで投げ方を変えた結果、右ヒジを損傷。MLB機構のやり方に怒りをぶちまけた。
一方、“得する”であろう打者側からも新ルールには不満の声が出た。2019年にMLB新人歴代最多53本塁打を放った大砲のピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)は「どんな滑り止めを使ったっていい」とコメント。その理由にしっかりコントロールされた球を投手が投げてくれない危険だとして、自らの安全を守るために反対の立場だ。
そうした厳しい意見が多く投げられているなか、2016年ナ・リーグMVPのクリス・ブライアント(シカゴ・カブス)は、かなり“刺激的”な言葉で賛成の立場を取っている。
記者から新ルール導入について訊かれたブライアントはまず、「審判たちが確認作業で投手にかけるようになって、彼らにはちょっとした運動になったんじゃないかな(笑)。面白いね」と軽くジョークを交えると、表情を変えて語り始めた。
「俺たち打者が本当にバカだったんだよ」
そしてダルビッシュの元チームメイトはこう続ける。
「『ああそうだね、(粘着物質を使うことは)コントロールするためだもんな。俺たちもぶつけられたくないし』。でも気づいたよ、そんなのは投手の言い訳にすぎないってね」
ブライアントが言うには、MLB機構の調査の結果、選手の安全性と異物使用の相関性はなかったという。しかし一方で、ボールの回転数と変化量増加には関連性があり、つまり得しているのは投手側だけとのこと。だから最後に、きっぱりと言い残している。
「今までのやり方が変わることはうれしいね。もしぶつけられても、出塁率が上がるしさ」
これまでの歴史を本当の意味で一からひっくり返すという意味でも、今回の新ルール導入は転換点となる。果たして最後に笑うのは、投手か野手か。球界全体が“幸せ”になることが本当は望ましいはずだが……。今後の動向から、まだまだ目が離せない。
構成●THE DIGEST編集部
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