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プロ野球

“格差”が交流戦を面白くする!セ・12年ぶりの勝ち越しに見た「リーグ間対決」の機運【豊浦彰太郎のベースボール一刀両断!】<SLUGGER>

豊浦彰太郞

2021.07.01

山本(左)の広島戦での快投や、佐藤(右)の西武戦での驚異の打棒など、今年は見どころの多い交流戦となった。写真:田口有史(山本)、山手琢也(佐藤)

山本(左)の広島戦での快投や、佐藤(右)の西武戦での驚異の打棒など、今年は見どころの多い交流戦となった。写真:田口有史(山本)、山手琢也(佐藤)

 2年ぶりの開催となった今季のセ・パ交流戦は、49勝48敗11分で12年ぶりにセ・リーグが勝ち越した。

 16年目を迎えた今年の交流戦は面白かった。佐々木朗希(ロッテ)の甲子園でのプロ初勝利や、佐藤輝明(阪神)の1試合3発、山本由伸(オリックス)の完全試合あと一歩の快投など数々の印象的なシーン。加えて、パ・リーグの終盤の追い上げで、セ・リーグ12年ぶりの勝ち越しが最後まで実現するかハラハラしながら戦況を見守った人も多かっただろう。

 私見だが、今年のセには例年以上の執念が感じられたと思う。巨人の原辰徳監督が8日のオリックス戦で見せた“9人継投”などは、その一例だろう。前回までは、「セとパのどちらが勝ち越すのか?」ということは、主として冠スポンサーのCMテーマでしかなかった。多くのファンにとっては、あくまで贔屓球団の動向こそが大事であり、普段とは異なる相手と戦うことこそが第一の意義だった。しかし、今回は少なくとも以前に比べて、「セか? パか?」の空気は強まったと思う。
 
 交流戦は、2004年の球界再編騒動を経て、その翌年からスタートしたものだ。オリックスと近鉄の合併計画に端を発したこの騒動は、1リーグ制移行も取り沙汰されるなど、球界を大きく揺るがせた。選手会が史上初のストライキを断行するまで事態が紛糾したこの問題は、新球団・楽天の加入で従来通りの2リーグ12球団制が維持されることで決着を見たが、交流戦はその副産物として誕生した。

 MLBでは、1994~95年の労使紛争によるファン離れ打開策として1997年に始まったア・リーグとナ・リーグの交流戦(インターリーグ)が、プロモーションとして大いに成果を挙げていた。日本でも04年の再編以前から、人気でセに水をあけられていたパ・リーグが交流戦を強く望んでいたが、「人気の巨人戦が減る」という理由で、セ・リーグが拒否し続けていた。だが、球界再編騒動の影響を懸念して、セもようやく重い腰を上げたのだ。
 
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