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「3戦連発×2回&“準サイクル安打”+1勝」大谷翔平の“現実離れ”した2週間を振り返る

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.07.01

漫画でも描けないような活躍を続ける大谷。この2週間に限っても、とんでもないパフォーマンスを見せてきた。(C)Getty Images

 改めて思う。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)という野球選手のプレーを、毎日のように見られる幸せを。そしておそらく、日米の野球ファン、いや野球にあまり関心のない人でも、同じ気持ちになっているのではないだろうか。

 連日連夜、大谷が「打った・投げた」というニュースが日本の多くの番組で取り上げられている。そして同じように、野球の母国アメリカでも、専門チャンネルや全国ネットで「ショウヘイ・オオタニ」のテーマが議論されるほど、その人気は凄まじい。オールスターファン投票でもぶっちぎりでDH部門トップに立つと、現地時間6月29日に行なわれた3選手で争う2次投票でも、63%の支持率を得たほどだ。

 ここまでの成績は、投手としては11試合に先発(59.1イニング)して3勝1敗、防御率2.58、82奪三振。打っては74試合に出場し、打率.278、28本塁打、63打点、OPS1.049、11盗塁。本塁打はメジャー単独トップ、打点は3位、OPSも3位という圧倒的すぎるパフォーマンスを見せており、誰もが認めるMVP最有力選手である。

 もちろん、開幕からその注目度が非常に高かったのは事実だが、振り返るとここ2週間の"追い込み"が「凄まじい」という表現を超えるレベルである。
 
・6月15日:18号本塁打
・6月16日:19号本塁打&セーフティバント+盗塁
・6月17日:3勝目/6回1失点5奪三振
・6月18日:20&21号本塁打
・6月19日:22号本塁打
・6月20日:23号本塁打
・6月21日:試合なし
・6月22日:3打数無安打
・6月23日:6回1失点9奪三振
・6月24日:試合なし
・6月25日:24号本塁打&セーフティバント
・6月26日:3打数1安打
・6月27日:25号本塁打&盗塁
・6月28日:26号本塁打
・6月29日:27&28号本塁打

 言葉がでない。まずはその一言だ。改めて記録を振り返ってみると、これは本当に人間がやっていることなのかと、目をこすりたくなるほど衝撃的すぎる"2週間"である。

 6月15日のオークランド・アスレティックス戦で6試合ぶりとなる18号本塁打を放つと、翌日には2戦連発。さらに次の打席ではセーフティバントを決め、すぐさま10個目の盗塁をマークするという、『頭を使った野球』ができることも証明してみせる。そして17日のデトロイト・タイガース戦では先発マウンドに上がり、6回1失点で3勝目。打席では無安打に終わるも2四球を選び、盗塁を試みようとする姿も話題を集めた。

 今季序盤は、登板の翌日に打者で出場するとあまり結果が出なかったが、シーズンを重ねるにつれて"適応"。18日の試合前にはホームラン・ダービー出場を発表すると、大谷は自身を祝う形で2年ぶりとなる1試合2本塁打を放って一気に20本の大台を超えた。

 14日時点では打撃三冠王を狙える勢いの神童、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)に本塁打数で5本差を付けられていたのが、一気に1本差まで接近。そして19、20日も1本ずつスタンドインさせて3戦連発を記録すると、シーズン23号で日本時代も含めての自己最多アーチを早くも更新してみせるのだった。
 
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当たりが一度止まるも、そこから2度目の3試合連続アーチへ!