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新チーム名は「ガーディアンズ」。100年以上にわたって親しまれていた「インディアンス」の名はなぜ変わるのか<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2021.07.24

新チーム名の由来となった交通の守護者像。背後には本拠地プログレッシブ・フィールドも見える。(C)Getty Images

新チーム名の由来となった交通の守護者像。背後には本拠地プログレッシブ・フィールドも見える。(C)Getty Images

 現地時間7月22日、クリーブランド・インディアンスは、チーム名を「ガーディアンズ」に変更することを発表した。具体的にいつチーム名が変更されるかはまだアナウンスされていないが、球団は今季まで「インディアンス」の名称を使用することを明言しており、おそらく来季から新チーム名で戦うことになるとみられる。

「ガーディアンズ」(守護者)の由来は、本拠地プログレッシブ・フィールドの近くにあるホープ・メモリアル・ブリッジに建つ「交通の守護者」像だ。彫刻家のヘンリー・ヘリングによって建造された高さ約13メートルのこの像は、1932年の建造以来、長らくクリーブランド市民に親しまれてきた。

 それに対して現在の「インディアンス」の名は、アメリカ先住民(ネイティブ・アメリカン)のことを指す「インディアン」からで、1915年から使用されている。この名称は、1890年代に活躍したネイティブ・アメリカン出身の外野手、ルイス・ソカレキスが1913年に亡くなったのを偲んでつけたもの……と球団は説明していた。だが実際には、同じくネイティブ・アメリカンを由来とするチーム名を使用していたボストン・ブレーブス(現アトランタ・ブレーブス)の人気にあやかろうとしたものだと考えられている。
 
 だが、この「インディアン」という呼び方は、政治的に不適切だという理由で現在は用いられなくなっている(前述のように「ネイティブ・アメリカン」と呼ぶのが正しい)。このため、「インディアンス」を改名するべきだという声は70年代から出ていて、人権団体が球団を相手に訴訟を起こしたこともある。

 こうした動きに対し、チームは2018年になってようやく重い腰を上げた。帽子のロゴに長年使用され、チームの象徴でもあったマスコットの「チーフ・ワフー」の廃止を決定。だが、この時点では「インディアンスの名はソカレキスに敬意を表したもので、差別的な意図はない」として、チーム名変更には至らなかった。しかし、翌20年に全米で大々的にBLM運動が盛り上がったこともあり、ようやく改称に至った。

 新たなチーム名の選出にあたって球団は、4万人以上のファンからアンケートを取るなど綿密な調査を行い、当初は1198もの新チーム名候補を作成。そこから、「クリーブランドの街との関連があり、チームの豊かな歴史を守り、コミュニティを団結させるもの」という方針に則って選考作業を行った。6月上旬時点ですでに14回の選考を行い、有力候補が絞り込まれていた段階だった。

 新チーム名を発表する映像には、ナレーションで名優トム・ハンクスが登場。羽の生えた野球ボールに赤い文字で「G」の意匠があしらわれた球団ロゴなども同時に公表された。果たして「クリーブランド・ガーディアンズ」が今後、どんな歴史を紡いでいくのか。また、同時に「インディアンス」としてのラストイヤーとなる今季、選手たちがどんな戦いぶりを見せてくれるのかにも、改めて注目したい。

構成●SLUGGER編集部
 
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