侍ジャパン

選手への厚い信頼が仇になる可能性も…侍ジャパン金メダルへの最大のカギは稲葉監督の決断力?【東京五輪】

氏原英明

2021.07.27

19年のプレミア12では優勝を勝ち取った稲葉監督。今回は金メダルをもたらすことができるか。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 本番を前にしたテストマッチは2試合を戦って1勝1敗。

 この2試合が調整の場だと割り切って考えていたのなら、勝敗は関係ない。重視されたのは結果よりも内容だろう。2試合を見る限り、調整は順調に進んでいると見ていい。

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 中でも期待を感じさせるのは先発投手陣だ。

 1、2戦目の先発山本由伸(オリックス)、田中将大(楽天)の出来栄えは完璧すぎるほどで、先発を想定して1戦目の2番手で登板した森下暢仁(広島)も完璧だった。大野雄大(中日)も安打こそ許したものの危なげなかったし、青柳晃洋(阪神)は失点こそしたが、それなりのピッチングだった。
 
 一方の打線の方も、脇腹の怪我で出遅れていた柳田悠岐(ソフトバンク)を除いてはまずまずの状態だった。充実は3人いるセカンド勢で、山田哲人(ヤクルト)は打線に勢いをつけてくれそうな気配だし、浅村栄斗(楽天)の勝負強さは五輪の舞台でも頼りになるだろう。菊池涼介(広島)の守備力はチーム全体に安心感を与えてくれる。
 
 坂本勇人(巨人)、鈴木誠也(広島)の代表常連組の落ち着きも素晴らしく、シーズン中の好調をキープしている吉田正尚(オリックス)、飛び道具のある村上宗隆(ヤクルト)、職人・源田壮亮(西武)は活躍の場が随所に見込めそうである。

 五輪では、選手登録枠が24人と少ないことがクローズアップされるが、今大会に限っては試合数が最少で5試合、最大で7試合しかなく、それほど苦労するような予測は立ちようがない。

 選手個々が指揮官の思惑通りに働けば、金メダルはそう難しいハードルではない。課題となりそうなのは、思い通りに戦えなかった時の策をどう講じるかだろう。
 
 テストマッチ2試合はテレビ中継されており、侍ジャパンのデータはおそらく対戦国には筒抜けになっている。特に投手陣の起用法に関しては、相手チームは想定しやすくなったはずだ。打線の方も、どういう布陣で戦ってくるかの大枠は、この2日間のスタメンで明らかになった。各バッターのタイプも分かっただろう。
 
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一度決めた起用にこだわりすぎてしまう側面も