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プロ野球

清原和博らの新人本塁打記録更新も射程圏内。後半戦も怪物ルーキー・佐藤輝明から目を離すな<SLUGGER>

藤原彬

2021.08.12

前半戦だけで20本塁打を放った佐藤。後半戦は確実性向上のためバットの握りを変えて臨む。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

前半戦だけで20本塁打を放った佐藤。後半戦は確実性向上のためバットの握りを変えて臨む。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 怪物ルーキー・佐藤輝明(阪神)は後半戦どれだけホームランを量産するのか。持ち前のパワーで話題を振りまく大砲は、前半戦だけで20本塁打に到達。入団1年目の選手としては史上17人目の快挙で、左打者に限定すると1946年に大下弘(セネタース)が記録した歴代最多と肩を並べている。30本や40本の節目を目指す過程では、過去の大物新人の名前も掘り起こされるはずだ。

 プロ野球新人記録は59年の桑田武(大洋)と86年の清原和博(西武)が放った31本。中央大からプロ入りした桑田は、5年連続最下位に沈むチームで開幕戦から4番を務めると、前半戦だけで22本を積み上げた。後半戦は9本にとどまったが、2年目の森徹(中日)と同数でタイトルを分け合い、新人王も受賞。この年、チームでは2ケタ本塁打を放った選手すら他におらず、まさに孤軍奮闘だった。

 一方、清原は前半戦8本塁打で、プロへの順応には多少時間を要した。ただ、高卒1年目であることを考えればそれも当然。開幕からスタメンに定着しただけではなく、5月にはクリーンアップに座っていた事実だけでも驚嘆に値する。オールスターに出場して迎えた後半戦は23本ものホームランを量産し、53年に豊田泰光(西鉄)が記録した高卒新人最多の27本塁打も追い抜いた。以降、高卒1年目で20本にたどり着いた打者は一人もいない。
 
 データで比較してみよう。1本塁打あたりに必要とした打数を示す本塁打率、長打率-打率で算出し、打者の純然たる長打力を表すISO(長打率-打率で算出)で佐藤、豊田、清原を比較するとどうなるだろうか。

▼本塁打率
清原 13.0
桑田 14.0
佐藤 15.6

▼ISO
清原 .280
桑田 .274
佐藤 .260

 球場の広さや得点環境の違いもあるとはいえ、佐藤は本塁打率とISOどちらも清原、桑田の後塵を拝している。ただ、桑田と清原の新人年は130試合制で、現在は当時より13試合も多い点は本塁打数を増やすために有利な要素だ。五輪期間中のシーズン中断も、体調面では追い風だろう。後半戦も全試合に出場して前半戦と同じペースでホームランを量産すれば、34本になる。白熱するチームのリーグ優勝争いと同様に、規格外のホームランで熱くシーズンを盛り上げてくれそうだ。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
 

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