高校野球

夏の甲子園ノーゲームの悲喜こもごも――決勝中止で優勝寸前から一転、2試合連続順延で3試合目に敗退<SLUGGER>

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2021.08.12

甲子園大会第3日目第1試合は雨天ノーゲーム。過去のノーゲームとなった試合はと言えば……。写真:滝川敏之

 8月12日に行なわれた第103回全国高校野球選手権大会の第1試合、ノースアジア大明桜vs帯広農業の試合が、4回で雨天により中止となった。夏の甲子園がノーゲームになるのは19度目。以下は過去のノーゲームの一覧である。

【過去のノーゲーム一覧】※対戦カード後の()は中止になったイニング数。→は再試合で勝利したチーム
第3回(1917年) 決勝 関西学院 1-0 愛知一中(6回)→ 愛知一中
第8回(1922年) 準々決勝 広島商 4-4 松山商(不明)→松山商
第8回(1922年) 準々決勝 神戸商 2-0 島根商(不明) →神戸商
第11回(1925年) 1回戦 釜山中  ― 台北工(スコア等の詳細不明)→釜山中
第15回(1929年)1回戦 前橋商 0-0 台北一中(2回)→台北一中
第17回(1931年) 2回戦 札幌商 4-2 大連商(4回)→札幌商
第24回(1938年) 準決勝 甲陽中 1-0 岐阜商(1回)→岐阜商
第31回(1949年) 準決勝 岐阜 3-2 倉敷工(4回)→岐阜
第38回(1956年)準々決勝 米子東 0-0 中京商(2回)→米子東
第39回(1957年) 1回戦 坂出商 4-1 山形南(2回)→坂出商
第47回(1965年) 1回戦 岡山東商 3-1 日大二(5回)→日大二
第52回(1970年) 2回戦 江津工 0-0 東邦(1回)→東邦
第64回(1982年) 1回戦 八幡大付 4-2 日大二(6回)→日大二
第75回(1993年) 2回戦 鹿児島商工 4-0 常総学院(8回)→常総学院
第85回(2003年) 1回戦 駒大苫小牧 8-0 倉敷工(4回)→倉敷工
第90回(2008年) 1回戦 大阪桐蔭 4-0 日田林工(2回)→大坂桐蔭
第91回(2009年) 1回戦 如水館 2-0 高知(3回)
           1回戦 如水館 6-5 高知(5回)→高知
 
 最も記憶に新しいのは、2009年の如水館vs高知のケースだろう。大会2日目の8月9日第1試合に行なわれた1回目のゲームは、台風9号の影響で中止。翌日の再試合も同じく5回終了時点でノーゲームとなり、高知の木下拓哉(現中日)などが放った本塁打は幻となった。

 そして、いざ決着となった11日の再々試合は、過去2試合でいずれもリードを奪っていた如水館が、今度は3対9の大差で敗れて姿を消した。如水館にとっては、まさに雨に泣かされた大会となった。

 ノーゲームとなることで流れが一度リセットされるのは間違いないらしく、結果をひっくり返されたのは如水館だけではない。ノーゲーム再試合となった上記の組み合わせ17例のうち、その時点でどちらかがリードしていたのは12例あるが、このうち半分以上の7例が「負けていた方のチームが再試合で勝利を収めたゲーム」である。