高校野球

手の内を知る者同士だからこそ――センバツに続いて好勝負を演じた神戸国際大付と北海<SLUGGER>

氏原英明

2021.08.16

プロ注目の北海・木村は152球の力投で9回2失点に抑えたが、またも一歩及ばなかった。写真:滝川敏之

 センバツ開幕カードの再戦となった大会第3日の第3試合は、神戸国際大付が2対1で逃げ切り、リベンジを狙った北海を返り討ちにした。

 春夏連続して同じ高校同士が対戦すること自体は決して珍しくない。互いが勝ち上がることでのリベンジマッチは甲子園の歴史ではよくあることだ。2012年には、大阪桐蔭と光星学院が春・夏連続して決勝戦で対決している。

 しかし、春・夏とも、初戦でぶつかることはあまり聞いたことがない。ともに地区大会を勝ち上がったから対戦が叶ったということもあるが、運命に導かれた対決と言えるかもしれない。

「北海高校さんは戦う相手なんですけど、平川(敦)監督とも室内練習で何回も顔を合わせましたから、親近感が湧きました」

 神戸国際大付・青木尚龍監督はユーモアたっぷりにそう表現したが、楽しみな対戦と捉えてこの試合を振り返っていたのが印象的だった。

 試合は春のセンバツと同じ部分と、まったく異なる部分が混在したゲームになった。

 同じだったのは試合展開だった。9回最後のアウトを取るまで試合の行方が分からないゲーム展開は同じだった。違っていたのは、センバツとは逆に神戸国際大付がリードする展開だったこと。春は神戸国際大付が後攻だったが、この夏は北海だった。
 
 序盤にペースを握ったのは神戸国際大付だった。

 1回表1死から2番の山里宝が左中間二塁打を放ったのをきっかけに、2死満塁の好機を作った。ここでは無得点に終わったが、2回表には先頭の栗原琉晟がレフトへの二塁打で出塁。8番・岡田悠作の犠打が内野安打となって一、三塁とすると、9番の川西琉成がスクイズを決めて1点を先制。2死後、2番の山里が左中間を破る適時二塁打を放ち2対0とした。

 序盤の果敢な攻撃にはセンバツの対戦が生きたと、青木監督は振り返っている。

「木村(大成)君をどうやって攻略するかのイメージはできていましたし、初回から長打が出ましたし、ファウルになったものでも捉えた打球があった。木村君にプレッシャーをかけられたんじゃないかなと思います」

 北海のエース・木村は145キロを超えるストレートと打者の手元で鋭く曲がるスライダー、チェンジアップを持ち味とする本格派左腕だ。神戸国際大付は、センバツで対戦した時の経験を糧にして、プロも注目する好投手を見事に攻略した。
 
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「いい意味でしのぎを削り合えた」