大谷翔平への言動で物議を醸したレジェンド投手、ジャック・モリス氏。騒動の波紋はいまだ広がり続けている。
発端となったのは、現地時間8月17日に行なわれたデトロイト・タイガース戦。試合中継を担った米放送局『Bally Sports』で解説を務めたモリス氏が発した“何気ない”言葉だった。
66歳の名投手は、6回に大谷が打席に立った際に、実況アナウンサーからの「オオタニに対してどう投げますか?」という問いに、アジア人特有のアクセントで「ベリー・ベリー・ケアフル(非常に慎重に)」とジョークかのように返答。これを聞いた視聴者から放送局に非難が殺到したのだ。
事の重大さに気付いたモリス氏は、9回途中に「私の発言で誰かを、とくにアジア人コミュニティーの方々を傷つけてしまったなら、真摯に謝ります」と謝罪。しかし、非難の大きさもあって『Bally Sports』は、「アナリストであるジャック・モリスが行なった発言にとても失望している」と無期限の活動休止処分を下した。
さらに同放送局は、「コメントの影響と多様なコミュニティーで、どのように前向きな影響を与えることができるかについて彼を教育する」と“復帰”に向けたプランニングも明らかにした。しかし、いまだモリス氏に対する世間の風当たりは強まっている。
ニューヨークの老舗紙『New York Post』は、「ジャック・モリスは大谷翔平を嘲笑った後に、他の連中が無罪放免になった行為で断罪された」と銘打った記事を掲載。NBAの元スターであるシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レーカーズ)が、2003年に中国の人気選手だったヤオ・ミン(元ヒューストン・ロケッツ)を揶揄したにもかかわらず、スポンサーが倍増した事例を紹介した。
「オニールは公の場で、『チン・チョン・ヤン・ワー…』と意味不明な中国語をヤオ・ミンに浴びせて嘲笑した。それで彼はどうなったのか? 何も処分はない。むしろ、その後にテレビCMや様々なスポンサー契約は増加し、周囲の支持を獲得し続けた。アジア系アメリカ人やアメリカに住むアジア人にとっては奇妙な時代であったに違いない」
さらに同紙は今月にNFLのグリーンベイ・パッカーズのデビン・ファンチェスが、「相手がマスクをしていても、笑顔のときは分かる。目が“中国風”になるからな」と指で両目の端をつり上げるアジア人蔑視のジェスチャーを披露した問題もクローズアップ。そのうえで、厳しい追及を続けた。
「オニールやファンチェスはモリスよりひどかった。それなのにモリスだけが人種差別主義者として職を解かれ、感受性トレーニングのカウンセリングを命じられ、腹を切るよう強いられたのだ。正義をふりかざそうとする人は、多くの恣意(しい)的な見逃しをする」
球界でも屈指の大物の発言に端を発した今回の騒動。これをキッカケにあらゆる差別が見直される方向に進めば何よりだが……。
構成●THE DIGEST編集部
【PHOTO】世界が驚嘆する偉才・大谷翔平のキャリアを厳選ショットで一挙公開!花巻東、日ハム、エンジェルスでの活躍を振り返る
発端となったのは、現地時間8月17日に行なわれたデトロイト・タイガース戦。試合中継を担った米放送局『Bally Sports』で解説を務めたモリス氏が発した“何気ない”言葉だった。
66歳の名投手は、6回に大谷が打席に立った際に、実況アナウンサーからの「オオタニに対してどう投げますか?」という問いに、アジア人特有のアクセントで「ベリー・ベリー・ケアフル(非常に慎重に)」とジョークかのように返答。これを聞いた視聴者から放送局に非難が殺到したのだ。
事の重大さに気付いたモリス氏は、9回途中に「私の発言で誰かを、とくにアジア人コミュニティーの方々を傷つけてしまったなら、真摯に謝ります」と謝罪。しかし、非難の大きさもあって『Bally Sports』は、「アナリストであるジャック・モリスが行なった発言にとても失望している」と無期限の活動休止処分を下した。
さらに同放送局は、「コメントの影響と多様なコミュニティーで、どのように前向きな影響を与えることができるかについて彼を教育する」と“復帰”に向けたプランニングも明らかにした。しかし、いまだモリス氏に対する世間の風当たりは強まっている。
ニューヨークの老舗紙『New York Post』は、「ジャック・モリスは大谷翔平を嘲笑った後に、他の連中が無罪放免になった行為で断罪された」と銘打った記事を掲載。NBAの元スターであるシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レーカーズ)が、2003年に中国の人気選手だったヤオ・ミン(元ヒューストン・ロケッツ)を揶揄したにもかかわらず、スポンサーが倍増した事例を紹介した。
「オニールは公の場で、『チン・チョン・ヤン・ワー…』と意味不明な中国語をヤオ・ミンに浴びせて嘲笑した。それで彼はどうなったのか? 何も処分はない。むしろ、その後にテレビCMや様々なスポンサー契約は増加し、周囲の支持を獲得し続けた。アジア系アメリカ人やアメリカに住むアジア人にとっては奇妙な時代であったに違いない」
さらに同紙は今月にNFLのグリーンベイ・パッカーズのデビン・ファンチェスが、「相手がマスクをしていても、笑顔のときは分かる。目が“中国風”になるからな」と指で両目の端をつり上げるアジア人蔑視のジェスチャーを披露した問題もクローズアップ。そのうえで、厳しい追及を続けた。
「オニールやファンチェスはモリスよりひどかった。それなのにモリスだけが人種差別主義者として職を解かれ、感受性トレーニングのカウンセリングを命じられ、腹を切るよう強いられたのだ。正義をふりかざそうとする人は、多くの恣意(しい)的な見逃しをする」
球界でも屈指の大物の発言に端を発した今回の騒動。これをキッカケにあらゆる差別が見直される方向に進めば何よりだが……。
構成●THE DIGEST編集部
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