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MLB

【杉浦大介のNYレポート】1か月で立場が逆転したメッツとヤンキース。10月の主役はやはり“悪の帝国”?<SLUGGER>

杉浦大介

2021.08.30

破竹の13連勝を記録したヤンキース。ワイルドカード争いでも1位につけているが、一方のメッツは…。(C)Getty Images

破竹の13連勝を記録したヤンキース。ワイルドカード争いでも1位につけているが、一方のメッツは…。(C)Getty Images

 この1か月で、ニューヨークを本拠とする2チーム、ヤンキースとメッツの立場はすっかり入れ替わった。

 怪我人が続出しながらも、5月上旬から3か月にわたって地区首位を維持してきたメッツは、8月6日にその座をブレーブスに明け渡すと一気に奈落の底へ転げ落ちた。

 特に、13日から始まったドジャース、ジャイアンツという西の強豪と対戦する13試合で、今季のメッツの真価が世に曝されてしまった感がある。この殺人スケジュール中メッツは2勝11敗と崩壊。しかも、敗れた11試合のうち7試合が1点差と接戦を落とし続けただけに、精神的なダメージも莫大だった。

「1球、1スウィングの差で毎試合のように負けてきたように感じられる。互角に戦えていたのに、ゲーム終盤に安定してプレーできなかった」

 主砲のピート・アロンゾはそう振り返っていたが、あと一歩のところで敗れ続けたのは単なる不運とは思えなかった。この13戦中、走者を得点圏に置いた場面では打率.152(99打数15安打)。今季を通じて打線の不振、勝負弱さが指摘されてきながら、それでも相手次第で何とか乗り切ってきたが、真の強豪チームとの対戦で弱点が炙り出された形だ。
 
 フランシスコ・リンドーア、ジェフ・マクニール、マイケル・コンフォートといった主力打者の多くが低迷。トレード期限に獲得したハビア・バイエズもすぐ故障離脱し、しびれを切らしたオーナーのスティーブ・コーエン氏が「プロの打者たちがこれほどまでに非生産的になるとは理解しがたい」とツイートする始末。8月は6勝19敗(27日終了時)と崩れ、地区首位のブレーブスにはすでに8.5ゲーム差をつけられてしまった。

 正直、ここからの浮上は難しいだろう。『スポーツ・イラストレイテッド』誌の電子版は「メッツはポストシーズン進出に値するチームではない」と冷酷に記述していた。最近ではシティ・フィールドにもブーイングが飛び交い、「Fire Rojas!(ロハス監督をクビにしろ!)」という罵声も聞かれるようになっている。

 超大富豪のコーエンがこの状況に我慢するとは思えない。このままプレーオフを逃すことになれば、オフは大ナタが振るわれる可能性が高い。今秋、クイーンズには再び厳しい粛清の嵐が吹き荒れようとしているのだろうか。

 一方、急降下のメッツと明暗を分けるように、ヤンキースはここに来て一気に上昇を続けている。
 
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