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MLB

【杉浦大介のNYレポート】“大谷旋風”がヤンキー・スタジアムを席巻した3日間。ブーイングも敬意の証<SLUGGER>

杉浦大介

2021.07.02

最初の2試合で3本塁打を放ち、3戦目は7失点KO。いろんな意味でニューヨークのファンに与えたインパクトは絶大だった。写真:REUTERS/AFLO

最初の2試合で3本塁打を放ち、3戦目は7失点KO。いろんな意味でニューヨークのファンに与えたインパクトは絶大だった。写真:REUTERS/AFLO

 エンジェルスがヤンキー・スタジアムを訪れた6月28日~30日(現地)の3日間(7月1日の試合は雨で中止)、ニューヨークのベースボールファンの視線は、大谷翔平の一挙一動に集中していたといっても大げさではなかった。

 開幕から二刀流で活躍を続け、メジャー最大級の注目選手となった大谷が2018年以来、久々に“聖地”と称される伝統のボールパークに登場。「2番・DH」で出場した28日の初回の第1打席で挨拶代わりの一発、29日は2ホームランを放ってニューヨーカーの度肝を抜いた。ヤンキー・スタジアムでの初登板となった30日には、今季最多となる3万0714人の観衆が集まった。この試合ではメジャー自己ワーストの7失点で早々と降板したのは残念だったが、これほどの振れ幅の大きさもある意味で魅力と言えるのかもしれない。

 3試合を現地の記者席で見た筆者にとって興味深かったのは、大谷に対するファンの反応が日々違っていたことだ。18年のニューヨーク初見参時には大ブーイングにさらされた大谷だが、28日の試合での登場時はほとんど反応なし。まだ敵対意識は存在しなかった。今シーズン、投打両面で素晴らしい成績を残している大谷が、どんなプレーをするのか、どれほどの素材なのか、“お手並み拝見”とばかりに様子を伺っている印象があった。
「3年前のヤンキースファンは、大谷がヤンキースと契約しなかったことに憤っていた。それがブーイングされた理由だ。ブライアン・キャッシュマンGMは大谷を獲得したいという希望を公にしていたのに、実現せず、代わりにジャンカルロ・スタントンを手に入れることになった。ただ、それからパンデミックも経験し、今では人々は再び球場に来て、大谷のような選手が見れることを喜ばしく感じるようになったんだ」。MLB.comのヤンキース番記者を務めるブライアン・ホークはそう分析する。

 そんなニューヨークのファンに対し、大谷は最初から遺憾なく実力を大いにアピールしてみせた。すると、球場の空気は瞬く間に変わっていく。29日の第4、5打席の際は、少しずつブーイングも混じり始めた。日本人の観客も多かった30日のゲームでは歓声も大きかったが、やはり「Boo!」の音み聴こえてきていた。
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