「あそこらへんが代えどきなのかなと思います」
選手本人がそう漏らさざるを得ないほどの“ノックアウト劇”だった。
現地時間9月10日、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、敵地で行なわれたヒューストン・アストロズ戦に「2番・投手」で先発出場。3回1/3で6失点を喫して降板し、ベーブ・ルース以来103年ぶりとなる「二桁勝利&二桁本塁打」の記録達成はお預けとなった。
【動画】スモルツも唸った大谷翔平の『伝家の宝刀』スプリットでの奪三振シーンはこちら
勤続疲労の影響があったのかもしれない。大谷が5回を投げ切れなかったのは、初回でノックアウトされた6月30日のニューヨーク・ヤンキース戦以来だ。事実、敵将のダスティ・ベイカーも「彼は前回より三振を取れなかったし、良くなかった」と指摘している。
球威と制球はともに本調子ではなかった。疲労がピークに達しつつあるシーズン終盤にあっては、致し方ない側面ではある。二桁勝利を目ざす大谷にとって、不調時でもいかに投げ抜くかが、当面の課題と言える。
そんな唯一無二の偉才にあえて贈りたい金言がある。それは先月、MLB公式ネットワーク番組『MLB Tonight』に出演した際、元アトランタ・ブレーブスの投手ジョン・スモルツが大谷に対して語った言葉だ。
「私はいつも言っている。彼はもっと先発の機会を積むべきだと。30から60試合ぐらいの経験をね。そして先発投手としてのスタイルを確立するんだ。それで直球をもっと意のままに投げられるようになれば、いまよりもずっと良くなる。速球をうまくコントロールできれば、スプリットとスライダーのコンビネーションで、もう相手は万事休すだ」
スモルツはMLB史に残るレジェンドだ。キャリアの序盤だった1990年代は、力自慢の個性派スラッガーたちをMAX102マイル(約164キロ)の速球でバタバタとねじ伏せた。一方で晩年は“キャラ変”。一級品と言われたスライダーをはじめとする多彩な変化球を駆使し、老獪な投球で勝ち星を重ねた。
42歳まで続いた現役生活で、最多勝2度、最多セーブ1度の栄誉に輝き、通算213勝、154セーブを記録した。殿堂入りした名投手は、大谷にこんなメッセージも残している。
「私はオオタニについてどうかと訊かれるたびに、『もう少し待ってあげてくれ』と言っている。だって、彼はまだメジャーで30先発ぐらいしかしていないじゃないか。やっと本格的なピッチングの組み立て、そしてコースの投げ分けに関して、取り組み始めたってぐらいじなのだから」
さらに「あの速球でバッターを効率よく攻められれば、もっと負担は軽くなる」とも語ったスモルツ。経験の重要性を強調した伝説戦士の言葉は、若き偉才に届くだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
【PHOTO】世界が驚嘆する偉才・大谷翔平のキャリアを厳選ショットで一挙公開!花巻東、日ハム、エンジェルスでの活躍を振り返る
選手本人がそう漏らさざるを得ないほどの“ノックアウト劇”だった。
現地時間9月10日、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平は、敵地で行なわれたヒューストン・アストロズ戦に「2番・投手」で先発出場。3回1/3で6失点を喫して降板し、ベーブ・ルース以来103年ぶりとなる「二桁勝利&二桁本塁打」の記録達成はお預けとなった。
【動画】スモルツも唸った大谷翔平の『伝家の宝刀』スプリットでの奪三振シーンはこちら
勤続疲労の影響があったのかもしれない。大谷が5回を投げ切れなかったのは、初回でノックアウトされた6月30日のニューヨーク・ヤンキース戦以来だ。事実、敵将のダスティ・ベイカーも「彼は前回より三振を取れなかったし、良くなかった」と指摘している。
球威と制球はともに本調子ではなかった。疲労がピークに達しつつあるシーズン終盤にあっては、致し方ない側面ではある。二桁勝利を目ざす大谷にとって、不調時でもいかに投げ抜くかが、当面の課題と言える。
そんな唯一無二の偉才にあえて贈りたい金言がある。それは先月、MLB公式ネットワーク番組『MLB Tonight』に出演した際、元アトランタ・ブレーブスの投手ジョン・スモルツが大谷に対して語った言葉だ。
「私はいつも言っている。彼はもっと先発の機会を積むべきだと。30から60試合ぐらいの経験をね。そして先発投手としてのスタイルを確立するんだ。それで直球をもっと意のままに投げられるようになれば、いまよりもずっと良くなる。速球をうまくコントロールできれば、スプリットとスライダーのコンビネーションで、もう相手は万事休すだ」
スモルツはMLB史に残るレジェンドだ。キャリアの序盤だった1990年代は、力自慢の個性派スラッガーたちをMAX102マイル(約164キロ)の速球でバタバタとねじ伏せた。一方で晩年は“キャラ変”。一級品と言われたスライダーをはじめとする多彩な変化球を駆使し、老獪な投球で勝ち星を重ねた。
42歳まで続いた現役生活で、最多勝2度、最多セーブ1度の栄誉に輝き、通算213勝、154セーブを記録した。殿堂入りした名投手は、大谷にこんなメッセージも残している。
「私はオオタニについてどうかと訊かれるたびに、『もう少し待ってあげてくれ』と言っている。だって、彼はまだメジャーで30先発ぐらいしかしていないじゃないか。やっと本格的なピッチングの組み立て、そしてコースの投げ分けに関して、取り組み始めたってぐらいじなのだから」
さらに「あの速球でバッターを効率よく攻められれば、もっと負担は軽くなる」とも語ったスモルツ。経験の重要性を強調した伝説戦士の言葉は、若き偉才に届くだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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