プロ野球

【2021ドラフト展望:阪神】投手陣底上げに加えて扇の要・梅野の流出に備えた捕手の指名もポイント<SLUGGER>

やまけん

2021.10.06

去就がまだ不透明な大黒柱の梅野。数年後に彼の代わりとなり得る捕手として、強打と守備力を備えた松川は指名しておきたい。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 10月11日に行なわれるプロ野球ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。16年ぶりのセ・リーグ制覇を目指している阪神。近年は"ドラフト巧者"の印象もあるが、今年はどう動くべきだろうか。

【2021年ドラフトのテーマ】
・投手層全体の底上げ
・梅野のFAに備え捕手の指名


 2005年以来のリーグ優勝が見える位置につけている阪神。チームを支えている投手陣に目を向けると、青柳晃洋(28歳)、秋山拓巳(30歳)、ガンケル(29歳)ら中堅どころの先発陣が安定感のある投球でゲームを作り、岩崎優(30歳)、スアレス(30歳)の必勝パターンで勝利をつかんでいる。

 ただ、先発、リリーフともに主力が抜けると、どうしても層の薄さを感じてしまう。特にクローザーのスアレスにはメジャーから熱い視線が向けられていることを考えると、後任候補の早めにアテをつけておきたいところだ。

 まず、先発として1年目から活躍が期待できそうなのが、黒原拓未(関西学院大)だ。小柄ながら最速151キロを計測する左腕で、右打者の内角を突く強気の投球スタイルも魅力。体力面も申し分なく、左打者に対しての投球の幅が広がれば1年目からの2ケタ勝利も十分に可能だろう。

 リリーフでは、長谷川稜佑(青森大)、柴田大地(日本通運)などストレートの強度を備えた大学生・社会人投手もピッタリ。また、森木大智(高知高)や風間球打(明桜高)などの超高校級投手を1位指名し、先発・リリーフ両睨みで育成するという選択肢もあり得る。
 
 野手は若手からベテラン、外国人選手までバランス良く活躍している。しかし、その中で正捕手・梅野隆太郎が国内FA権を取得。今後の去就に注目が集まっている。昨年は立命館大の榮枝裕貴を指名(4位)したことを考慮すると、今年は高校生捕手を指名する可能性が高いのではないか。中でもイチオシは松川虎生(市和歌山高)だ。プロでも中軸を担えそうな強打が武器で、今ドラフト注目株の小園健太を巧みにリードしていた姿も印象深い。

 また、センターの近本光司のバックアップが心許ないという意見も目にする。それには、俊足と打球判断能力が光る渡部遼人(慶応大)がうってつけの存在で、阪神の外野守備を一気に引き締めてくれるはずだ。また、向山基生(NTT東日本)は大卒3年目の年齢に当たるが走攻守に即戦力級の素材で、指名候補に入っていてもおかしくない。

 今季はここまで佐藤輝明(1位)、伊藤将司(2位)、中野拓夢(6位)と昨年のドラフトで指名したルーキーの活躍が光っている。一昨年に指名した高校生選手たちも徐々に頭角を表してきており、今年のドラフトでも補強ポイントを抑え、未来のチームの基盤を固めたい。

【表】阪神 ポジション別年齢分布

文●やまけん

【著者プロフィール】
1999年生まれ、千葉県出身。「一人でも多くのアマチュア野球選手がスポットライトを浴びてほしい」という思いから、関東を中心に全国のアマチュア野球の試合を年間約150試合を球場で観戦するアマチュア野球観戦者。Twitter→@yam_ak_en