プロ野球

【2021ドラフト展望:巨人】次世代の中心を担う人材を得るためのドラフト。投なら小園か森木、野手では正木が狙い目<SLUGGER>

ARA

2021.10.08

次世代のエースとなるとやはりビッグ3は外せない。中でも小園のポテンシャルは頭抜けている。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 10月11日に行なわれるプロ野球ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。リーグ3連覇が遠のきつつある巨人が来季以降の逆襲に向けて取るべき戦略とは?

【2021年ドラフトのテーマ】
・"高校生ビッグ3"の指名で将来のエース候補を確保
・外野手でも次代の中心を担う人材を獲得


 今季は9月に6勝14敗5分と大きく負け越し、優勝争いから大幅に後退してしまった巨人。だが、近年のドラフトでは特徴ある育成選手を大量に指名してきた成果もあって、若手の戦力バランスは実のところ球界屈指。今後も若手選手の競争は激化していくだろう。つまり、今年のドラフトでは特定の方針に凝り過ぎることなく、トップクラスの選手を指名できる強みを持つ。

 近年獲得した若手投手に怪我が多発したことや、今季不振に陥ったエース・菅野智之の後釜を探す意味でも、まずは確実性の高い将来のエース候補が一番の狙い目だ。スケールと技術を併せ持った今年の"高校生ビッグ3"、小園健太(市和歌山高)、森木大智(高知高)、風間球打(ノースアジア大明桜高)のいずれかに入札するのが王道と言えるだろう。

 その中でも、小園か森木を推したい。小園の多彩な変化球と巧みなコントロールからなる打ち取る技術はトップクラス。夏には投球フォームも安定し、球速が安定した姿も見せるなど、今後のパワーアップも期待できる。森木はストレートでも変化球でも空振りを奪える高校生離れしたスタイルが持ち味で、状況を見て打ち取る投球に切り替えるなど嗅覚にも優れ、打者としての評価も高い。
 
 また、両者に共通する"頭脳"にも注目したい。自身の長所と弱点を的確に表現できる言語化能力は高校生離れしており、チームのみならず、球界を背負うエースに相応しい才覚を兼ね備えていると言える。

 首尾良く次世代のエース候補を確保した後は、高齢化が顕著で次世代を担う選手が手薄な外野手を指名したい。今ドラフトナンバーワンの長距離砲・正木智也(慶応大)がこの時点で万が一残っていれば即決したいころだが、そうでなければ田来翔 (国士舘大) と福永裕基 (日本新薬)の2人を候補に加えたい。2人とも内野が本職だが俊敏性に優れ、外野の適性も感じさせる。両者とも打球に角度をつけるのが上手く、強いライナーを量産できるだろう。

 毎年、積極的なFA補強でも話題をさらう巨人だが、やはり生え抜きスターの存在も不可欠。菅野や坂本勇人らの後を受けて、次世代の巨人の中心になる存在を獲得することができるだろうか。

【表】巨人 ポジション別年齢分布

文●ARA

【著者プロフィール】 
Twitterでドラフトイベント「VD4B」「ヨソドラ」を主催。雑誌/野球太郎のモックドラフト立案者。ベースボールキングのドラフト2020速報ライブでは解説者を務めた。主に打撃を得意分野とし、中学生を中心とした野球指導にも携わる。ツイッターIDは@arai_san_28。