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プロ野球

「25年ぶりのリーグ制覇」に向け躍進するオリックス。2014年に2厘差で優勝を逃した投打のベテランの想い

北野正樹

2021.10.11

準備の大切さを若手に説くオリックスの比嘉幹貴。写真:北野正樹

準備の大切さを若手に説くオリックスの比嘉幹貴。写真:北野正樹

 オリックスが、25年ぶりの優勝に向け10月12日から本拠地・京セラドーム大阪で2位・ロッテとの直接対決に臨む。現在のゲーム差は2.5。優勝に向け負けられない試合が続く。

 その瞬間を心待ちするベテランがいる。24年間、優勝から遠ざかっているオリックスが、最も優勝に近づいた2014年のメンバーだ。2位ながら優勝マジックが点灯し、首位・ソフトバンクとの直接対決となった10月2日、ヤフオクドーム(現PayPayドーム)でオリックスは延長10回、サヨナラ負けを喫し歓喜のソフトバンクナインを見るしかなかった。
 
 このシーズン、優勝したソフトバンクの勝率5割6分5厘に対し、オリックスは5割6分3厘。80勝62敗2分けで、勝ち数ではソフトバンク(78勝60敗6分け)を上回ったものの、わずか2厘差で涙を飲んだ。

 この試合に出場し、現在も選手としてチームに在籍するのは、野手でT-岡田、安達了一、後藤駿太、投手では比嘉幹貴、平野佳寿の5選手。

「すごく悔しかったし、忘れられない出来事」と語るのは、延長10回1死満塁から登板し、ソフトバンク・松田宣浩にサヨナラ打を浴びた比嘉だ。

 場面を7年前に戻す。ソフトバンク・大隣憲司、オリックス・ディクソンの先発で始まった試合は、ソフトバンクが2回に先制。オリックスも7回に追いつき、1-1のまま延長戦に突入。10回、ソフトバンクはオリックスの6番手、マエストリから3四球などで1死満塁とし、松田が代わった比嘉の外角低めの球を左中間にはじき返してサヨナラ勝ち。3年ぶり18度目のリーグ優勝を果たした。
 
 当時、プロ5年目だった比嘉は、松田との対決について「自分の中ではその時、その時、やるべきことをして結果が出たんで、その後も変わらずしっかりと準備することだけは心掛けている。正解は分からないですけど」と、後悔はしていないという。

 そして「あの打席に関しては、意図していない凄く甘い球がファウルになったり、まあまあ狙ったところに投げた球が打たれたりしたんで、野球って難しいなって感じた。理想は思ったところに投げて抑えることだが、逆球でアウトを取れたりすることもあり、野球は難しい」と続けた。

 松田の打席で野球の難しさを知らされたのは、3球目とサヨナラ打の4球目。初球は捕手の伊藤光が構えた外角低めへボール。2球目の内角への128キロでファウルを打たせ、3球目は外角低めを狙った130キロが真ん中付近へ。松田は打ち損じたのかファウルで救われたが、テレビの解説者が「(松田は)少し力が入るんでしょうね。ど真ん中に近い」というほどの甘い球だった。しかし、カウント1-2からの4球目、外角低めへの131キロを左中間にはじき返された。 
 

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