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プロ野球

大谷翔平以来の日ハム高卒一本釣り!可能性を形にし続けてきた男・達孝太の高校3年間<SLUGGER>

氏原英明

2021.10.21

194センチの長身から繰り出す低めの直球は威力充分。長身やメジャー志向は大谷との共通点?写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

194センチの長身から繰り出す低めの直球は威力充分。長身やメジャー志向は大谷との共通点?写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 本人も驚きの日本ハムの単独1位指名。

 今年春のセンバツで天理を24年ぶりのベスト4に導いたエース・達孝太は、ドラフトが始まって2番目に名前が読み上げられたことに驚きを隠さなかった。 

 彼は日本ハムの単独1位指名で交渉権が確定した。日本ハムの高卒1本釣りは、近年ではダルビッシュ有(2004年1位)と大谷翔平(12年1位)くらい 。達への評価がいかに高かったかが分かる。

 達の単独1位のみならず、今年のドラフト会議は予想外の連続だった。“投手豊作の年”と言われたが、蓋を開けてみれば、1位巡目指名には野手が3人も登場。2位指名も合わせると、24人中10人が指名された。

 これには2つの理由がある。

 1つは全体に野手の層が薄かったことで、早めの野手指名に切り替えたチームが現れたこと。2位指名以降は野手が残っていない可能性があるため、特に指名順が遅いチームが早めに手を打ったのだ。

 もう1つの理由が「目玉の不在」だ。高校生は小園健太(市立和歌山高/DeNA1位)、森木大智(高知高/阪神1位)、風間球打(ノースアジア大明桜高/ソフトバンク1位)が“ビッグ3”と呼ばれたが、彼らには19年ドラフトの目玉だった奥川恭伸(星稜高/現ヤクルト)ほどの安定感も、佐々木朗希(大船渡高/現ロッテ)ほどのスケール感もなかった。
 
 もっとも、彼らが伸び悩んだのはコロナ禍と深く関係している。伸び盛りの2年春から夏にかけて、感染拡大の影響で試合経験を積めなかったからだ。昨年春のセンバツと夏の甲子園が中止になったこともそうだが、夏に各府県で開催された代替大会は当時の3年生のためのもので、当時2年生だった達や森木らは蚊帳の外に置かれてしまった。

 彼らがこの年の夏の舞台を経験できていたら、成長スピードも違っていただろう。いわばこれまでの高校生たちがぶつかった壁を経験できなかったということだ。

 ただ、これは決して悪いことばかりではない。プロの世界で経験を積む中で、成功と失敗を繰り返し、殻を破っていく。言い換えれば、高校で突き抜けられなかった分、これからまだ大きく成長する可能性も残されているということだ。

 その中で、達孝太である。

 おそらく、彼の比較対象は同じ長身選手だった大谷やダルビッシュ、藤浪晋太郎(阪神)らになるだろう。しかし、彼らの高校3年時と比較すれば、現状ではやや見劣りするのも事実だ。それは先にも書いたように試合経験が少なく、失敗を経験することが少なかったからに他ならない。

 一方、コロナを経験したからこそ、達自身、考えることも多かったという。言わば、大谷にも、ダルビッシュにも与えられなかった「時間」が、達にはあった。

 達は言う。

「公式戦に入っていく前に練習試合を経験できなかったことは、マイナス面もあったとは思いますけど、こういう時しか経験できないと思っています。どんな状況であっても、自分を高めていくことが大事だと思っているので、自分のことを考えることができたことがこの先、プロやメジャーにいった時に生きてくればという思いでいますね」
 

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