プロ野球

【オリ熱コラム優勝記念寄稿】オリックスを25年ぶりの優勝に導いた中嶋聡監督。チーム作りは昨夏から始まっていた

どら増田

2021.10.28

実質就任1年目で見事にチームを優勝に導いた中嶋監督。25年前は捕手として日本一に貢献している。写真:産経新聞社

 オリックスが25年ぶりのリーグ優勝を果たした。2004年に近鉄と統合し、チーム名を「バファローズ」に改めてからは初の頂点である。

 西村徳文前監督が成績不振の責任を取る形で退任したのが、昨年の8月20日。その翌日に、中嶋聡二軍監督が監督代行に就任した(シーズン終了後、正式に監督に就任)。中嶋監督は宮城大弥、山崎福也、杉本裕太郎、紅林弘太郎ら、二軍監督時代に直接指導していた選手たちを積極的に試合で使ってきた。昨年の夏から1年半かけて、優勝チームに育て上げたのだ。

 今年のキャンプから、マスコミへの対応が監督代行時代から明らかに変わった。戦術面や選手のコンディションについてほとんど話さないスタンスを貫くことで、選手やチームを守ってきた。歴代の監督が答えてきたような質問にも答えなかった。

 だが、練習を見ていると、選手やコーチ陣と積極的にコミュニケーションを図っていた。捕手出身ということもあってか、外野でのピッチング練習に足を運んで選手に声をかけていたが、それまでの監督にはあまり見られなかった光景だった。
 監督を支えるべく、今シーズンからチームに加わった水本勝己ヘッドコーチの「試合前に全員で一つになっていこう」という発案で、試合開始直前にベンチ入りメンバー全員がグータッチをするようになった。辻竜太郎打撃コーチの"辻ガッツ"もそうだが、チームが一致団結し、ベンチの空気が明るくなった。シーズン中、選手たちからは「チームの雰囲気は最高」という声が数多く出ていた。

 投手陣では、山岡泰輔がシーズン前半に右ヒジの故障で離脱した中で、山本由伸が「ダブルエース」から「真のエース」へ台頭。東京オリンピックも含めて18勝、投手五冠を獲得する大活躍でチームを牽引した。また、高卒2年目の宮城大弥も13勝を挙げる予想以上の活躍。シーズン終盤は疲れも出たが、優勝の立役者となった。

 他にも、田嶋大樹が2年続けて規定投球回に到達し、山崎福也がキャリアハイの8勝を挙げたことで、先発ローテーションが安定した。ブルペンも、7回はベテランの比嘉幹貴、海田智行や、山田修義、吉田凌、富山凌雅がスクランブル登板していたが、8回のヒギンス、そして日本に戻ってきた平野佳寿が9回を締める必勝リレーが確立された。
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