どんなパフォーマンスを見せようとも勝てなければ、逆風に晒される。それが常勝軍団の宿命だ。史上最多27度のワールドチャンピオンを誇るニューヨーク・ヤンキースは、いままさに、名門ゆえの苦境に立たされている。
【動画】強打のアストロズを翻弄した田中将大の圧巻ピッチングをチェック
今季のヤンキースは、シーズン途中のトレードで補強したジョーイ・ギャロとアンソニー・リゾーを加えた強力打線がチームをけん引。同じ東地区のトロント・ブルージェイズとの熾烈な争いを制して、地区シリーズ最後の1枠を決めるワイルドカードゲームに勝ち進んだ。
しかし、宿敵ボストン・レッドソックスとの重要なワイルドカードゲームでチームは沈黙。頼みのエースだったゲリット・コールも打ち崩されて2対6と敗北を喫し、あっけなくシーズンの終了を迎えたのである。
世界一を目標に掲げていたチームの課題は開幕前から明確。米老舗誌『Sports Illustrated』が「タナカを手放したのは大きな間違いだ」と指摘した通り、それは先発投手のテコ入れにあった。
昨オフにぜいたく税の回避に追われたヤンキースは、田中将大との再契約を行使せず。夏にトミー・ジョン手術からの復帰を果たすルイス・セベリーノの復調も視野に入れ、代役には故障明けだったコーリー・クルーバーとジェイムソン・タイオンを据えたのだ。
だが、球団首脳陣の思惑はもろくも瓦解する。先発投手陣の防御率は3.91とパフォーマンスに終始不安定で、シーズンを通してローテーションを守り抜いたのは、16勝をマークしたコールだけという有り様だ。
十分に予測できた結果だろう。それだけに辛口な贔屓メディアの非難の矛先は、首脳陣に向けられている。日夜、ヤンキースのチーム情報を発信している専門メディア『Yanks Go Yard』は、現地時間10月19日にアーロン・ブーン監督が新たに3年契約を締結した一報を受け、「球団は監督を助けるために行動を起こさなければならない」と訴えた。
「今シーズンの開幕前のヤンキースはぜいたく税の回避に時間を割きながら過ごし、マサヒロ・タナカを考えなしに日本へ放出した。それに加えて貴重な中継ぎだったアダム・オッタビーノも、あろうことかレッドソックスに譲り渡したのである」
贔屓球団の補強戦略を一喝した同メディアは、48歳の指揮官をかばうようにレポートの最後を、次のように結んでいる。
「ヤンキースのポストシーズン進出は、ギリギリで起こした奇跡だ。ほぼ毎日スタメンに居続けたのは、アーロン・ジャッジとジャンカルロ・スタントンだけ。他の打者は過去の凄みを思い起こさせるものではなかった。それに加えて投手陣は、良く言っても平凡なレベルでしかない。こうした問題が改善されるまで、指揮官が大きな違いを生み出すのは不可能だ。ブーンは与えられた戦力で最大限のことをやっている。この事実はほかでもない、フロント陣が一番よく理解しているはずだ」
構成●THE DIGEST編集部
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今季のヤンキースは、シーズン途中のトレードで補強したジョーイ・ギャロとアンソニー・リゾーを加えた強力打線がチームをけん引。同じ東地区のトロント・ブルージェイズとの熾烈な争いを制して、地区シリーズ最後の1枠を決めるワイルドカードゲームに勝ち進んだ。
しかし、宿敵ボストン・レッドソックスとの重要なワイルドカードゲームでチームは沈黙。頼みのエースだったゲリット・コールも打ち崩されて2対6と敗北を喫し、あっけなくシーズンの終了を迎えたのである。
世界一を目標に掲げていたチームの課題は開幕前から明確。米老舗誌『Sports Illustrated』が「タナカを手放したのは大きな間違いだ」と指摘した通り、それは先発投手のテコ入れにあった。
昨オフにぜいたく税の回避に追われたヤンキースは、田中将大との再契約を行使せず。夏にトミー・ジョン手術からの復帰を果たすルイス・セベリーノの復調も視野に入れ、代役には故障明けだったコーリー・クルーバーとジェイムソン・タイオンを据えたのだ。
だが、球団首脳陣の思惑はもろくも瓦解する。先発投手陣の防御率は3.91とパフォーマンスに終始不安定で、シーズンを通してローテーションを守り抜いたのは、16勝をマークしたコールだけという有り様だ。
十分に予測できた結果だろう。それだけに辛口な贔屓メディアの非難の矛先は、首脳陣に向けられている。日夜、ヤンキースのチーム情報を発信している専門メディア『Yanks Go Yard』は、現地時間10月19日にアーロン・ブーン監督が新たに3年契約を締結した一報を受け、「球団は監督を助けるために行動を起こさなければならない」と訴えた。
「今シーズンの開幕前のヤンキースはぜいたく税の回避に時間を割きながら過ごし、マサヒロ・タナカを考えなしに日本へ放出した。それに加えて貴重な中継ぎだったアダム・オッタビーノも、あろうことかレッドソックスに譲り渡したのである」
贔屓球団の補強戦略を一喝した同メディアは、48歳の指揮官をかばうようにレポートの最後を、次のように結んでいる。
「ヤンキースのポストシーズン進出は、ギリギリで起こした奇跡だ。ほぼ毎日スタメンに居続けたのは、アーロン・ジャッジとジャンカルロ・スタントンだけ。他の打者は過去の凄みを思い起こさせるものではなかった。それに加えて投手陣は、良く言っても平凡なレベルでしかない。こうした問題が改善されるまで、指揮官が大きな違いを生み出すのは不可能だ。ブーンは与えられた戦力で最大限のことをやっている。この事実はほかでもない、フロント陣が一番よく理解しているはずだ」
構成●THE DIGEST編集部