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「一番の選手になる」大谷翔平が描く“理想像”はどんなものか。イチローの“予言”を超えた偉才の行く末

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.11.16

二刀流として前人未到のシーズンを完走した大谷。しかし、その言葉からは、一切満足した様子などなかった。果たして、その理由とは何だろうか。(C)Getty Images

「何をもって一番なのかっていう、少し曖昧なところではあると思うんですけど、まぁそこが良かったりするんですけど、これからも目指していきたい目標ではあるかなと思います」ーー11月15日に会見を開いた大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、4年前に「一番の選手になる」と言ったことを引き合いに出された際、こう口にした。

 2017年11月11日、大谷はこの日と同じ場所でメジャーの目標を訊かれると、「野球をやっている以上は『一番の選手』になりたい。ファンの人に、『彼が一番だ』と言ってもらうのが幸せ。そういう選手を目指したい」と語っている。

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 あれから4年、大谷は投打二刀流として圧巻のパフォーマンスを続け、打ってはリーグ3位の46本塁打、2位のOPS.965、投げても9勝、156奪三振をマーク。シーズンを終えて数々の媒体から「最優秀選手」にチョイスされると、選手間投票による両リーグで一人だけを選ぶ「年間最優秀選手」の栄誉に輝いた。日本時間19日に発表されるシーズンMVPの受賞も確実といった情勢だ。
 
 MVPはシーズン"最高"の選手に与えられる、球界で最も名誉あるアウォードだ。普通に考えれば、これを受賞した段階で「一番の選手」と言ってもいいはずである。しかしおそらく、大谷の言う「一番の選手」とは、これだけでは不十分なのだろう。MVPの発表はまだではあるが、数多くの栄誉を獲得してもなお、その表情は達成感で満たされたものではなかった。

 冒頭の大谷のフレーズを聞いた時、確かに「何をもって一番なのか」というのは、かなり深いテーマだと考えさせられた。例えば、ここ数年メジャーで最も重要視されているWARという指標がある。走攻守、投球のすべてを得点に換算し、いかに勝利に貢献できたのかを示すもので、選手の優劣を競うランキングや、アウォード投票においてもかなり重視されている。

 果たして、今シーズンの大谷はメジャートップのWAR9.1(『Baseball-Reference』版)をマークした。歴史を作るインパクトはもちろん、選手としてのパフォーマンスも今季"最高"だったのだ。しかしそれでも、大谷は「足りなかったな、というところはたくさんあります」と言う。

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あのイチローも「世界一の選手になる」と予言していたが……