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“決死の継投”にここしかなかった「代打・川端」。20年ぶりの日本一を成し遂げた高津采配の妙【氏原英明の日本シリーズ「記者の目」】<SLUGGER>

氏原英明

2021.11.28

就任2年目にして頂点をつかみとった高津監督。セ・リーグのチームが日本シリーズを制するのは9年ぶりだった。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 まるで2017年を思わせる結末だった。

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 ヤクルトの3勝2敗で迎えた第6戦。「もう一つ負けられることができる」条件であったはずのヤクルトが決死の継投策を見せた。

 5回途中までをゲームメイクした先発の高梨裕稔の後を、アルバート・スアレスが引き継いで2.1回を無失点に抑え、3番手の清水昇は2イニング、田口麗斗が0.2イニングを挟んだ後は、クローザーのスコット・マクガフがこのシリーズ5度目の登板で、自己最長の2.1回を投げたのである。

 17年のソフトバンク対DeNAの日本シリーズでは、ソフトバンクのクローザー、デニス・サファテが第6戦の9回から延長11回までの3イニングを投げて勝ち投手になった。この時と同じように、クローザーの熱のこもった投球が手繰り寄せた日本一だった。

「俺は全然気にしてないから」

 第1戦が終わった後、高津臣吾監督はマクガフにそう声をかけたという。

 シリーズ開幕戦で相手のエース山本由伸を攻略し、2点リードで迎えた9回裏。マクガフの大乱調の果てに試合をひっくり返された。四球あり、送球ミスありの一人相撲だった。それでも高津監督の信頼は揺るがなかった。

 この日の試合は戦前から継投策がポイントになると予想された。
 
 先発は高梨が務めるが、その後をどうマネジメントしていくか。相手投手が山本だっただけに、余計にやりくりが難しかった。

 試合を振り返る。先制したのはヤクルトだった。

 5回表、7番ホセ・オスナがセンター前ヒットで出塁。その後は犠打などで2死二塁とすると、1番の塩見泰隆がレフト前へのタイムリーで先制した。2死だったとはいえ、迷いなく三塁を蹴ったオスナの走塁も的確だった。

 しかし、その裏、オリックスは同じように2死二塁の好機を作ると、1番の福田周平がやはりレフト前に落とす同点タイムリーを放ち、試合を振り出しに戻した。

 この同点劇で、オリックス先発の山本はギアを上げた。6回は2つの失策で無死一、二塁のピンチを背負うも、5番ドミンゴ・サンタナを併殺打。調子のいい中村もショートゴロに抑えた。7回もピンチを招いたものの、2番の青木宣親を力で押し込んでセカンドゴロ。8回は圧巻の3者連続三振で、さらに9回も続投して三者凡退に封じ込めたのだった。
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新旧の考え方をミックスさせた高津采配