プロ野球

楽天電撃加入・西川遥輝がもたらす「メリット」と「デメリット」。MLBも危惧した“穴”とは

THE DIGEST編集部

2021.12.22

日本ハムからノンテンダーFAとなっていた西川の楽天移籍が決定。盗塁王4回のスピードに加えて卓越した選球眼でも貢献してくれるはず。写真:徳原隆元

 球界を代表するスピードスターの"新天地"がついに決まった。 

 楽天は12月22日、日本ハムから自由契約となっていた西川遥輝の獲得を発表した。2010年ドラフト2位指名で日本ハムに入団した西川は、一軍に定着した14年に43盗塁で初タイトルを手にすると、その後、17~18年、そして今シーズンと計4度の盗塁王。史上8人目の20代での通算300の大台をクリアするなど、"北の切り込み隊長"として躍動を続けてきた。  

 しかし、今季の打率.233は自己ワースト、OPS(出塁率+長打率).673にとどまる打撃不振。年俸2億4000万円と高給ながらも結果を残せなかったこともあり、日本ハムは契約を提示せずに、いわゆる"ノンテンダーFA"を選択して大きな波紋を呼んだ。約1ヵ月間、西川は未契約のステータスだったわけだが、来季も引き続きパ・リーグでその姿を見られることになった。 

 一時は巨人移籍が濃厚と見られていた西川だが、楽天側の"狙い"ははっきりしている。一番の補強理由は「盗塁数の増加」だ。今シーズンの楽天の盗塁数は45個にとどまり、これはリーグワースト。この傾向は今季だけではなく、18年からリーグ最低の数字(69個→48個→67個→45個)を推移しており、間違いなく盗塁面で西川の加入はプラスになる。 

【動画】楽天加入・西川遥輝のファインプレー! 新天地で躍動なるか
 また、西川にはスピードだけでなく「選球眼」という極上のツールがある。16年からボール球スウィング率は5年連続リーグベストと、ボールの見極めに関しても文字通り球界トップクラスで、出塁率4割超えは2回(16・20年)。通算打率.281に対して、出塁率は1割近く(.380)も上回っている。 

 パワーヒッターは長打の危険性があるので得てして四球は増える傾向にあるが、過去3年間で5本塁打が最高の選手がこれだけフォアボールをもぎ取っているのは、まぎれもなく選球眼の賜物だ。今季も打率.233に対して出塁率はリーグ10位の.362と悪くない数字だった。 

 今季の楽天で主に1番を務めたのは小深田大翔、辰己涼介、山﨑剛の3人。いずれも出塁率は3割2分台、盗塁数も最も多いのが辰巳の6だったので、仮に西川が今季レベルの"不振"だったとしても、リードオフとして大きく貢献してくれるのではないか。 

 と、ここまでは明るい材料について言及してきたが、西川加入による"デメリット"も存在する。最大の穴は「守備」だ。 
 
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