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プロ野球

ゴールデン・グラブ賞投票結果の“違和感”。京田の過小評価、常連組への優遇。そして非公開投票の限界<SLUGGER>

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.12.03

“名手”京田(左)と山田(右)はまたもゴールデン・グラブ賞に落選。彼らのような犠牲者が出ることはやむなしだが、問題はそこだけではなく……。写真:田中研治(京田)、山手琢也(山田)

“名手”京田(左)と山田(右)はまたもゴールデン・グラブ賞に落選。彼らのような犠牲者が出ることはやむなしだが、問題はそこだけではなく……。写真:田中研治(京田)、山手琢也(山田)

 12月2日に「第50回三井ゴールデン・グラブ賞」が発表された。毎年、喧々諤々の議論を呼ぶアウォード投票だが、今年は特にセ・リーグの方でなかなかどうして“不思議”な結果となった。その争点をいくつかまとめてみたい。 

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1:京田の評価はいつ上がるのか 

 セ・リーグの遊撃部門は、坂本勇人(巨人)が2位の中野拓夢(阪神)に7倍以上の差をつける222票の圧倒的支持を得て3年連続5度目の受賞を果たした。遊撃手最少の4失策にとどめた坂本は、データサイト『Delta』が発表している守備指標UZR(各ポジションの平均と比較し、どれだけ多くの失点を防いだかを示す)でもリーグ2位の5.0をマークしており、まずはもっともな受賞に思える。  

 ただ、その坂本を抑えてトップだったのが、中日の遊撃手・京田陽太だった(5.3)。卓越したステップワークとグラブさばきを誇る京田は初受賞の可能性も考えられたが、得票数わずか29票で3位に終わった。一方、2位の中野はルーキーながら盗塁王に輝いた俊足を生かしたアクロバティックな守備が売り物だが、失策数は遊撃手ダントツ12球団ワーストの17。京田の7失策よりもずっと多く、UZRは意外にもマイナスだった。 
 
 今年に関しては、坂本と京田のUZRの差はわずかなもの。そもそも、単純にUZRだけで受賞者を決めるべきではない。しかし、2019年の投票でも、UZRで大差をつけただけでなく、公式記録の守備率や刺殺、失策数でも坂本を凌駕していた京田は大差で涙を呑んだ。そして、今年は3位にまで“転落”。皮肉な話だが、かつて本人も語っていたように、打撃で目立たない限りはゴールデン・グラブ獲得は難しいのかもしれない。 

2:捕手の選出は“優勝補正”が影響した? 

 京田の例を持ち出すもなく、ゴールデン・グラブと打撃成績は大いに関係している。過去の受賞者を見ても、打撃成績を加味して判断していると思わざるを得ないものが散見されてきた。 

 そこで改めて、ゴールデン・グラブ賞の「選出基準」を確認したい。公式サイトにはこう書いてある。

「卓越した守備によりチームに貢献し、プロの技術を発揮したプレーを基準として選出された『守備のベストナイン』を表彰するもの」

 やはり、投票者は何よりもまず、選手の「守備力」を評価することが求められるというわけだ。その観点から考えると、セ・リーグの捕手はやや首をかしげたくなるものだった。 
 
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