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プロ野球

打率1割台、外野出場10試合でも票が入る「ベストナイン」。史上8人目の投手五冠でも満票選出されない理由を知りたい<SLUGGER>

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.12.15

今年のベストナインで起きた“波乱”。阪神からは大山(左上)、陽川(左下)が“謎”の1票が入り、最強投手・山本も満票にならなかった。写真:田口有史(山本)、大山(山手琢也)、徳原隆元(陽川)

今年のベストナインで起きた“波乱”。阪神からは大山(左上)、陽川(左下)が“謎”の1票が入り、最強投手・山本も満票にならなかった。写真:田口有史(山本)、大山(山手琢也)、徳原隆元(陽川)

「ベスト(best)」――広辞苑の定義によれば「1:最良、最優秀、2:できる限り、最善、全力」と書いてある。なるほど、プロ野球のアウォード投票であるベストナイン賞は、各ポジションの「最優秀選手」を称えるための賞となるわけだ。

 12月14日、2021年のセ・パ両リーグのベストナインが発表された。山本由伸(オリックス)ら10名が初の栄誉に与り、球団別ではリーグ優勝を果たしたヤクルトとオリックスから最多4名が輩出された。

 想像以上に差がついたのはセ・リーグの三塁手か。二冠王の岡本和真(巨人)と本塁打王の村上宗隆(ヤクルト)の一騎打ちと見られていたが、村上が5倍近い246票を得て圧勝した。今年のベストナイン(セ・リーグ)の有効投票数は306。村上が249、岡本が59票だから足して305となり、1票だけ足りない。それは阪神の大山悠輔にも1票が入っていたからだ。

【動画】祝ベストナイン! 村上が達成した最年少100号HRの瞬間がこれだ
 
 たしかに大山も立派な選手である。昨年は最終盤まで本塁打と打点のタイトル争いを演じ、甲子園という打者不利な球場を本拠としながらOPS.918と出色の成績を残した。今年も優勝争いが激化していた9月5日の巨人戦で劇的なサヨナラ2ランを放つなど、印象的な活躍もあった。

 ただ、故障離脱もあってシーズン全体の成績は下降。シーズン終盤にはスタメン落ちもあった。にもかかわらず、その大山が村上や岡本よりも「ベスト」にふさわしいと考えた記者がいた、というわけだ。

 同じ阪神の選手でいえば“不可解”だったのが、外野手部門で1票を得た陽川尚将だ。そもそも、セ・リーグ外野部門はかなりハイレベルで、選外には規定打席にわずか4打席足りなかったものの、OPS実質リーグ2位のオースティン、打率リーグ5位・6位の桑原将志と佐野恵太(いずれもDeNA)らがいる。

 一方、陽川は出場41試合で打率.174、2本塁打、OPS.581にとどまり、ベストナインどころかレギュラーですらない。何より、外野での出場はわずか10試合、一塁で23試合という選手になぜ票が入ったのだろうか。外野部門では、他にもヤクルト・荒木貴裕(100試合/打率.200/OPS.462)、広島・松山竜平(85試合/打率.263/OPS.679)にも1票が投じられているが、どのあたりが「ベスト」だったのか、記者にはぜひとも説明してほしいものである。
 
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