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オーナーが戦力均衡税引き上げに強硬に反対…エンジェルスは勝つ気がないなら大谷とトラウトを即刻トレードするべきだ<SLUGGER>

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2022.03.07

戦力均衡税の引き上げに強硬に反対していると言われるオーナーのモレノ。大谷のFA流出は決定的か。(C)Getty Images

戦力均衡税の引き上げに強硬に反対していると言われるオーナーのモレノ。大谷のFA流出は決定的か。(C)Getty Images

 選手会と機構/オーナー側の労使交渉が決裂し、開幕延期が決定したMLB。最大の争点となっている戦力均衡税(ぜいたく税)の引き上げについて、一部球団のオーナーが課税ラインを頑なに拒んでいることが明らかになり、波紋を呼んでいる。

『ジ・アスレティック』によれば、ダイヤモンドバックス、レイズ、タイガース、そしてエンジェルスのオーナーが課税ラインの引き上げに強硬に反対しているのだという。

 そもそも戦力均衡税とは、総年俸に一定の基準を設け、その基準を超えたチームにペナルティ、つまり「税金」を課す仕組み。現行の課税ラインは2億1000万ドルで、選手会はこれを2億3800万ドルまで引き上げることを要求している。これに対し、オーナー側は2億2000万ドルを主張。しかし、1000万ドルの引き上げは物価上昇幅なども考慮するとゼロ回答に等しく、労使交渉はこの点で暗礁に乗り上げている。
『スラッガー』3月号で私は、大谷が23年オフ(ロックアウトが長引けば24年オフになる可能性もあるが)にFA権を取得した暁には、エンジェルスから旅立つべきだという趣旨の記事を書いた。打高投底のいびつな戦力状況、球界最悪クラスと言われるファーム組織の現状などを踏まえ、このままでは大谷が希望しているワールドシリーズ出場は到底望めないと考えたからだ。

 そして今回、ますますその思いを強くした。オーナーのアート・モレノがワールドチャンピオンになることより、自身の懐事情を優先していることが明白になったからだ。

 ダイヤモンドバックスやレッズのような中小規模マーケットの球団が戦力均衡税の引き上げに反対するのはまだ理解できる。しかしエンジェルスは、フランチャイズ名に堂々「ロサンゼルス」という名を冠し(実際にホームにしているのはLAから少し離れたアナハイムだが)、パンデミック前には毎年300万人を超える観客動員を記録していた人気球団だ。
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