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オーナーが戦力均衡税引き上げに強硬に反対…エンジェルスは勝つ気がないなら大谷とトラウトを即刻トレードするべきだ<SLUGGER>

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2022.03.07

 実際、19年にはMVPを3度獲得したマイク・トラウトと12年4億2650万ドルという史上最高額契約を交わしている。同年オフには、FA市場で2億4500万ドルを当時、三塁手のアンソニー・レンドーンを7年契約で獲得した。だが、投手陣にはなぜか補強資金をあまり投じず、ここ6年連続で負け越している。

 この問題がどのような形で解決するにせよ、エンジェルスが今後、戦力均衡税ラインを超過するような補強を行わないことだけは確かだろう。

 これは2つのことを意味する。

 1つは、大谷との契約延長交渉がかなり難航するだろうということ。すでにトラウト、レンドーンに4000万ドル近い年俸を支払い続けることが決まっている状況で、大谷とも同規模の契約を結ぶと、ただでさえいびつな戦力バランスがますますいびつになってしまう。
 もう1つは、仮に大谷と再契約できても、3人の選手が総年俸の半分以上を占めるようなチームが勝つことはほぼ不可能ということだ。野球はずば抜けた才能を持つ一握りの選手だけで勝てるスポーツではない。捕手から中継ぎ投手まで、あらゆるポジション・役割に満遍なく人材を配置することが勝利の条件になる。
 皮肉にも、そのことを他のどのチームよりも象徴しているのが近年のエンジェルスだ。16年と19年にトラウト、そして昨年は大谷がMVPを受賞したにもかかわらず、チームはその3年間いずれも負け越している。総年俸を大幅に上げないまま大谷と契約しても、同じ状況が続くだけだ。

 今回の報道が事実なら、今後はトラウトの去就をめぐる騒動にも発展するのではないか。今のチーム状況でオーナーが「大型補強はしない」と明言することが何を意味するのか、トラウトは十分に理解しているはずだ。

 大谷とトラウトがポストシーズンの舞台に立てないことは、エンジェルスファンのみならず世界中の野球ファンにとって大きな損失だ。無理を承知であえて書くが、勝つ気がないなら、エンジェルスは大谷とトラウトを即刻トレードしてほしい。

文●久保田市郎(SLUGGER編集長)
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