アリゾナの乾いた空気を切り裂く一撃が飛び出した。

　現地時間３月30日、シカゴ・カブスの鈴木誠也は、シアトル・マリナーズとのオープン戦に「２番・ライト」で先発。４回の第２打席に左中間へ２ランを叩き込んだ。オープン戦11打席目にしての初安打には、詰めかけた大勢のカブス・ファンも歓喜。チームメイトも満面の笑みで日本の４番を迎え入れた。

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　鈴木は今月17日、渡米１年目の日本人野手では歴代最高額となる５年8500万ドル（約101億円）でカブスへ入団。広島では６年連続打率３割＆25本塁打をクリアした天才的な打力への評価がこの大型契約につながったわけだが、スプリング・トレーニングではここまで結果を出せずにいた
　
　この日も１打席目に凡退し、２打席目もカウント１－１となったなか、鈴木は持ち前の対応力を発揮する。日本時代から外国人投手との対戦時に時折、取り入れていたノーステップ打法に変更したのだ。そして直後の一球。完璧に手元まで呼び込んだ打球は打った瞬間、それと分かる一発となったのだ。
  　現地ファン、実況も大興奮となった一発だが、何より喜んでいたのが同じくこのオフに新加入したエース右腕だった。2ケタ勝利4回、19年にオールスター選出を果たしているマーカス・ストローマンは「何て見事なスイングなんだ」と大絶賛。

　さらに、この一撃を現地で観戦していた『USA Today』の敏腕記者、ボブ・ナイチンゲール氏は「セイヤ・スズキのカブス第１号の余韻に観衆はまだ興奮している。そして、スカウトたちはスズキのパワーを絶賛していた」と、その衝撃を綴っていた。

　オープン戦の結果がレギュラーシーズンに直結するわけではないのは重々承知。それでも、さまざまに試行錯誤するなかでアジャストできたのことは好材料と言えるだろう。シーズン開幕まで約１週間。鈴木がどんな“進化”を見せていくのか注目だ。

構成●THE DIGEST編集部

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