選抜高校野球は閉幕したが、4月に入ってから大学のリーグ戦、社会人の公式戦が続々と開幕。2022年のドラフト戦線もいよいよ活発化してきた印象を受ける。そして、現時点で最注目と言える選手が、日本体育大のエース兼4番の矢澤宏太(藤嶺藤沢)だ。
高校野球では投手が中軸を打つケースも少なくない。だが、指名打者制を採用している大学野球(東京六大学野球連盟と関西学生野球連盟、明治神宮大会の大学の部は指名打者制を採用していない)の場合は、投手が打席に入るケースはまずない。
しかし、そのなかで矢澤は大学でも二刀流に取り組み、2年秋には外野手として、3年秋には投手としてベストナインを受賞。いずれにおいてもハイレベルなパフォーマンスを発揮しているのだ。まさに大学球界では異色のプレーヤーと言えるだろう。
そんな矢澤のプレーを筆者が初めて見たのは、高校3年春の神奈川県大会、対慶応湘南藤沢戦だ。「3番・ピッチャー」で出場した彼はこの試合で6回コールドながらノーヒット・ノーランを達成(15対0)。投げては最速144キロをマークして10奪三振を記録し、打っても第3打席で左中間スタンドへツーランホームランを叩き込むと、第5打席でもレフトへのツーベースを放ち打者としても非凡なところを見せた。
高校3年時にプロ志望届を提出した矢澤だが、指名は見送られた。その理由としては、当時172センチ、61キロとかなり小柄だった体躯が影響したと考えられる。先の慶応湘南藤沢戦では6回で4四球、続く日大藤沢戦では8回を投げて11四死球とコントロールの不安定さも彼にあった。大学でもその弱点があったためか、2年秋まではリリーフとして3試合に登板しただけ。目立った結果を残せてはいなかった。
矢澤がそのポテンシャルの高さを全国レベルで示したのは、2019年11月30日から松山で行なわれた大学日本代表候補合宿だ。紅白戦では投手として2回を1安打、無失点と好投し、シーズンオフの寒い時期にもかかわらずストレートの最速は143キロをマーク。野手としても、4打数2安打としっかりと結果を残している。
とりわけ驚かされたのが、初日に実施された50メートル走だ。参加した26人の中で並木秀尊(獨協大→ヤクルト)、五十幡亮汰(中央大→日本ハム)に次ぐ5.53秒をマークしたのだ。スタートは各自のタイミングで、コーチ陣が手動で計測するというスタイルだったため、数字自体は参考程度のもの。だが、数多く参加していた俊足自慢のなかでも並木、五十幡というプロでも足のスペシャリストと言える選手に次ぐタイムをマークしているところに矢澤の運動能力の高さがよく表れている。
なお、2年後の2021年12月に行なわれた大学日本代表候補合宿の50メートル走は光電管を使ってタイムを計測したが、ここでも矢澤は全参加中選手の中でトップとなる5.80秒をマークしている。その脚力はプロでもトップクラスであるのは間違いないだろう。
高校野球では投手が中軸を打つケースも少なくない。だが、指名打者制を採用している大学野球(東京六大学野球連盟と関西学生野球連盟、明治神宮大会の大学の部は指名打者制を採用していない)の場合は、投手が打席に入るケースはまずない。
しかし、そのなかで矢澤は大学でも二刀流に取り組み、2年秋には外野手として、3年秋には投手としてベストナインを受賞。いずれにおいてもハイレベルなパフォーマンスを発揮しているのだ。まさに大学球界では異色のプレーヤーと言えるだろう。
そんな矢澤のプレーを筆者が初めて見たのは、高校3年春の神奈川県大会、対慶応湘南藤沢戦だ。「3番・ピッチャー」で出場した彼はこの試合で6回コールドながらノーヒット・ノーランを達成(15対0)。投げては最速144キロをマークして10奪三振を記録し、打っても第3打席で左中間スタンドへツーランホームランを叩き込むと、第5打席でもレフトへのツーベースを放ち打者としても非凡なところを見せた。
高校3年時にプロ志望届を提出した矢澤だが、指名は見送られた。その理由としては、当時172センチ、61キロとかなり小柄だった体躯が影響したと考えられる。先の慶応湘南藤沢戦では6回で4四球、続く日大藤沢戦では8回を投げて11四死球とコントロールの不安定さも彼にあった。大学でもその弱点があったためか、2年秋まではリリーフとして3試合に登板しただけ。目立った結果を残せてはいなかった。
矢澤がそのポテンシャルの高さを全国レベルで示したのは、2019年11月30日から松山で行なわれた大学日本代表候補合宿だ。紅白戦では投手として2回を1安打、無失点と好投し、シーズンオフの寒い時期にもかかわらずストレートの最速は143キロをマーク。野手としても、4打数2安打としっかりと結果を残している。
とりわけ驚かされたのが、初日に実施された50メートル走だ。参加した26人の中で並木秀尊(獨協大→ヤクルト)、五十幡亮汰(中央大→日本ハム)に次ぐ5.53秒をマークしたのだ。スタートは各自のタイミングで、コーチ陣が手動で計測するというスタイルだったため、数字自体は参考程度のもの。だが、数多く参加していた俊足自慢のなかでも並木、五十幡というプロでも足のスペシャリストと言える選手に次ぐタイムをマークしているところに矢澤の運動能力の高さがよく表れている。
なお、2年後の2021年12月に行なわれた大学日本代表候補合宿の50メートル走は光電管を使ってタイムを計測したが、ここでも矢澤は全参加中選手の中でトップとなる5.80秒をマークしている。その脚力はプロでもトップクラスであるのは間違いないだろう。