プロ野球

【開幕1か月「MVP」と「逆MVP」|ロッテ】完全試合達成の佐々木朗希は“プロ野球全体”のMVP。彼を援護できない打線は全体的にマイナス〈 SLUGGER〉

出野哲也

2022.04.28

圧倒的な投球を見せた佐々木は誰もが認める納得のMVPだ。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 3月25日に開幕したプロ野球は早くも1か月が経過。絶好調の選手、不振に苦しむ選手など早くも明暗が分かれている。全12球団の「MVP」、「逆MVP」を挙げてみよう。今回はロッテだ。※成績は4月24日時点

●MVP
佐々木朗希(先発投手)


 マリーンズに限らず、球界全体の開幕1か月MVPと言えるだろう。何と言っても、4月10日のオリックス戦で史上16人目の完全試合を達成したインパクトは絶大。プロ野球新記録の13者連続奪三振、同タイ記録の1試合19奪三振も合わせて3つの偉業をまとめて達成、間違いなくプロ野球史上最高のピッチングだった。さらには17日の日本ハム戦でも8回をパーフェクト。2試合連続完全試合こそ実現しなかったものの、52者連続アウトという異次元の投球を展開した。

 奪三振率15.00、K/BB12.00、WHIP0.50といった数字も滅多なことではお目にかかれない。パ・リーグ全体が異常な投高打低というのもあるが、8回になってもまだ160キロを超える速球を投げられては、オリックスの中嶋聡監督が「見れるようなボールと違いますよ、あんなの」と言うのも納得だ。防御率0.34で佐々木を上回るロメロも素晴らしいが、すでに伝説と化した投手との比較ではさすがに分が悪い。

【動画】伝説のピッチング! 佐々木朗希の完全試合ハイライト
●逆MVP
マーティン(外野手)


 佐々木が連続パーフェクトを達成できなかったのは、直接的には井口資仁監督が8回限りで降板を命じたからである。だが間接的には、日本ハム投手陣から1点も奪えなかった打撃陣に責任がある。

 とにかく打者全員が不調と言っても大袈裟ではないくらいの惨状で、チーム打率は.209。19~20日の西武戦は2試合続けて1安打に抑えられ、57年ぶりという不名誉な記録を作ってしまった。藤岡裕大や安田尚憲は二軍落ちを命じられたが、彼らはレギュラー級と言っても主軸ではない。打線の中心として頼りにされている打者たちが打ってくれない方が"罪"は大きいだろう。

 なかでもマーティンは24日時点で打率.141、1本塁打、4打点。開幕から18打席ノーヒット、12日~24日にかけて今度は27打席、足かけ8試合にわたってヒットが出なかった。もともと調子の波が激しい傾向はあるし、四死球での出塁は稼いでいるものの、かなり深刻な状態。ファンからも二軍での調整を求める声が出ている。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――"裏歴史の主人公たち"」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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