プロ野球

【2019総括・DeNA】ラミレス采配が奏功して躍進。課題は登板過多のブルペン運用と筒香の後継者

石塚隆

2019.12.11

ラミレス(左)采配が冴え、見事2位フィニッシュ。来季は筒香(右)の穴をどう埋めるかが課題だ。提供:朝日新聞社

▶収穫と誤算
 
 DeNA体制になって8年目となる今季、チームはリーグ2位となり初のCS本拠地開催を実現した。春先に10連敗して借金最大11を抱えながら、チームを立て直してシーズン後半は巨人と優勝争いを演じることができたという意味では、ラミレス監督の手腕は評価できる。

"奇策"と呼ばれ賛否両論のあったラミレス監督の采配であるが、防御率、打率ともリーグ5位、さらに安打数、犠打、盗塁はワーストといった状況でこの成績だったことを考えれば、いかにして与えられた戦力で戦うのか、データをベースにした創意工夫があったのが窺われる。
 
 そもそも、今季はリスクマネージメントを問われるシーズンだった。
 
 先発ローテーションでは、昨年の新人王・東克樹や濵口遥大の調子が上がらず、中継ぎの要だった三上朋也、砂田毅樹を欠き、パットンは自らの過ちで大事な終盤で欠場を余儀なくされた。さらに、夏場にはチームの中心である宮﨑敏郎と伊藤光が怪我で離脱した。
 
 しかし、この状況にあって先発では上茶谷大河、大貫晋一、中継ぎでは齋藤俊介、櫻井周斗、笠井崇正、野手では神里和毅、佐野恵太、乙坂智、伊藤裕季也、楠本泰史らチャンスを手にした中堅や若手が要所で重要な役割を果たした。また、長くファームで過ごしていた戸柱恭孝や梶谷隆幸ら実績のある選手たちが、大事な場面でラミレス監督の起用に応えることができたのも大きかった。
 
 問題があったとすれば中継ぎ陣の登板過多であろう。先発の状況が悪いと見れば早々に交代を言いわたすラミレス監督だが、その結果、エスコバーは74試合、三嶋一輝は71試合、国吉佑樹はオープナーも務め53試合とフル回転することになり、また石田健大にかぎってはシーズン中に中継ぎ→先発→中継ぎと配置転換を余儀なくされることになった。先発も含め苦しい投手事情だったことは間違いなく、このあたりが来季どのように響いてくるのか。
 
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