プロ野球

「野球以外でも面白いやつだなって思ってもらえたら」コーヒーを愛するロッテの強心臓ルーキー・廣畑敦也の魅力<SLUGGER>

村岡範子

2022.07.14

昨年のドラフトでは1位予想する声もあった廣畑。現在は二軍調整中だが、今後の活躍が期待される。写真:千葉ロッテマリーンズ

 3月31日、ZOZOマリンスタジアムでのソフトバンク戦、千葉ロッテのドラフト3位ルーキーの廣畑敦也が7回表にプロ初登板を果たした。即戦力として期待され、見事開幕一軍をつかみ取った右腕は、ヒットは許したものの、1回無失点でデビューを飾った。

 初めてのプロの公式戦のマウンドは緊張するものだろうと思いながら感想を聞いてみると、意外な回答が返ってきた。

「初登板という緊張はとくになかったです。自分の球を投げるだけだって、いつどんな時でも思っているので。状態がいいとか悪いとかはあまり気にせずに、自分の球を投げようという気持ちでした。それがいい結果になったので良かったです」

 淡々と語った廣畑の理想の投手像は「1試合27球で終えること」だ。

「点を取られないのがピッチャーとして一番大事なので。ピンチでしっかり抑えることができればいいとずっと思っています」
 
 まさにその言葉通りの場面があった。4月5日、札幌ドームでの日本ハム戦。7回裏無死一、二塁の場面で登板した廣畑は、最初の打者アルカンタラを空振り三振に抑えたが、続く石井一成にヒットを打たれて満塁のピンチを迎える。だが、そこから清宮幸太郎、淺間大基を抑えて無失点で切り抜け、初ホールドを記録した。ルーキーらしからぬ強心臓が印象的な火消しぶりだった。

 しびれる場面での登板にも「行けと言われたところでちゃんと投げるというのが一番大事なことだと思うので。ランナーがいようがなしだろうが、いつも通り投げるのが自分の良さなのかな」と落ち着いて振り返る。「そういうところをちゃんとできたからこそ、ああいう場面で抑えられたと思うし、もちろん絶対点は取られちゃいけないんですけど、そこは気にせずに相手バッターに向かっていくだけなんで」と語った。

 玉野光南高から帝京大、三菱自動車倉敷オーシャンズを経てプロ入りを果たした。「大学4年間でプロへ行こうっていう目標はあったんですけど、そんなレベルじゃないなと。社会人でやってダメだったら、そこまでかなぁと思っていた」廣畑にとって最大のアピールとなったのは、2020年の都市対抗野球だった。前年優勝のJFE東日本を相手に完封勝利を挙げたのだ。
 
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「野球選手として楽しんでもらいたい」と抱負