夢舞台で起きたまさかのプレーに球場も湧きかえった。

　予期せぬワンプレーが飛び出したのは、現地時間７月19日、ドジャー・スタジアムで行なわれたメジャーリーグのオールスターゲームの初回。アメリカン・リーグの「１番・DH」でスタメンとなった大谷翔平（ロサンゼルス・エンジェルス）が、相手先発のクレイトン・カーショウ（ロサンゼルス・ドジャース）とのマッチアップを終えた時だった。

　過去の対戦で球界屈指の左腕から８打数ノーヒットと抑え込まれていた大谷は、打席に入る直前のフラッシュインタビューで「初球をフルスイングする。それだけ」と語った通りに、カーショウが投じた外角への初球をフルスイング。バットが折れたような形となったが、自慢のパワーでセンター前ヒットに変えた。出塁した大谷はやや大きめのリードを取ったのだが、カーショウが素早く牽制。まさかのアウトとなってしまったのだ。

　オールスターで牽制によってアウトとなったのは、2008年にカルロス・ザンブラーノ（シカゴ・カブス）がミルトン・ブラッドリー（テキサス・レンジャーズ）を刺して以来、14年ぶりだった。そんな滅多にお目にかかれないシーンだっただけに、大谷も少しばかり恥ずかしそうな表情でダグアウトへ下がっていった。
  　まさにベテランの妙。大谷の逆を突いたクイックによる牽制だった。しかし、当のカーショウ本人は「たまたまだった」と語る。米放送局『NBC』でレポーターを務めたイケル・J・ドゥアルテ氏が公開したインタビューでベテラン左腕は、次のように振り返っている。

「あの場面は間合いを嫌って、数秒だけ仕切り直したかったんだ。だから、とくに牽制のアウトを狙ったわけではないんだ。よくやることではあるんだけど、（アウトにできたのは）たまたま上手くいったからだ」

　また、大谷との勝負については「オールスターの初球に変化球を投げるわけにはいかないだろ。勝負に行けてよかった」と振り返ったカーショウ。夢舞台で実現した二刀流戦士との対決は実りあるものになったようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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