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オフのFA補強もマッドン監督解任の決断もことごとく失敗。エンジェルスの低迷を招いたミナシアンGMの“失策”<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.07.25

マッドン監督(中央)を途中解任したミナシアンGM(左)の“ギャンブル”は結果的に失敗に終わった。(C)REUTERS/AFLO

 エンジェルスの2022年シーズンは、事実上終わってしまった。7月24日(現地)のブレーブス戦に勝って連敗を5で止めたものの、地区首位のアストロズとは23.5ゲーム差、ワイルドカード3位のマリナーズにも10.5ゲーム離されている。

 大谷翔平とマイク・トラウトは、シーズンの約5分の3を終えた時点で早くも消化試合を戦うことになってしまったのだ。

 一体なぜ、このような事態になってしまったのか。端的に言おう。ペリー・ミナシアンGMの決断がことごとく間違っていたからだ。

 まずは昨オフの補強を振り返ってみよう。この時、ミナシアンGMは投手陣の補強に忙しく動いた。先発陣にはノア・シンダーガードとマイケル・ロレンゼン、ブルペンはFAになったクローザーのライセル・イグレシアスを4年5800万ドルで引き留めた上で、さらにアーロン・ループ、ライアン・テペラ、アーチー・ブラッドリーを獲得した。
 
 この6人の今季年俸はトータルで6050万ドル。チーム総年俸の約3分の1近くに相当する。では、実際のパフォーマンスはどうか。7月24日時点で、計264.1投球回を投げて防御率は4.43。この数字だけでも、とても成功とは言い難いことは分かるが、勝利貢献度を示すWAR(Baseball-Reference版)では何と-0.1という衝撃的な数字が出ている。

 WARとは、「そのポジションに代替可能選手と比べてどれだけ勝利を上乗せしたか」を示す。「代替可能選手」とは、簡単に言えば最低コストで獲得できるメジャー最底辺の選手を意味する。つまり、ミナシアンGMが6000万ドル以上もかけて集めた投手たちは、トータルで3A選手と大して変わらないパフォーマンスしか見せていない、ということだ。

 エンジェルスと同じく、昨オフにFA市場で多くの選手を獲得したのがジャイアンツだ。こちらは先発陣に昨年ノーヒッター左腕のカルロス・ロドン、打線にはポストシーズンで活躍したジョク・ピーダーソンを補強した。
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マッドンの更迭は失策だった