プロ野球

「スーパー中学生」の現在地。虎の次代を担う森木大智が描く成長曲線「プロの1軍だと考えたら詰めが甘い」

チャリコ遠藤

2022.07.29

阪神で研鑽の日々を送っている森木。意識の高さはプロ入りを果たしてからも変わらない。写真:産経新聞社

 虎の次代を担うであろう"金の卵"が、順調な成長曲線を描いている。昨秋に阪神タイガースがドラフト1位指名した高知高校出身の森木大智は今、ファームのローテーションの一員として登板を重ねている。

 直近の公式戦のマウンドとなった7月17日の中日ドラゴンズ戦(鳴尾浜球場)。最速153キロの直球を主体に変化球も織りまぜながら6回2安打無失点の好投を披露し、二塁も踏ませなかった。

「僕の中ではゾーン内でしっかり勝負していくっていうのをテーマにしていて、それはこれから先も続けていくことだと思うので勝負できていましたし、変化球でもカウントを取れて良かったんじゃないかなと」

 まだ18歳。それもタテジマのユニホームに袖を通して半年も経っていない選手とは思えない落ち着きぶりと、登板後の冷静な振り返り。この言葉でフラッシュバックしたのは今年、筆者が唯一、生で森木の投球を目にした日だった。

 3か月前の4月26日。森木は2軍の本拠地・鳴尾浜球場で行なわれた社会人チームのカナフレックスとの練習試合でプロ初先発を飾った。初回の3者連続三振をはじめ、直球は自己最速を更新する155キロを計測するなど、社会人を圧倒し5回無失点の快投を披露した。
 
 この試合で森木は本来の二段モーションを止めて打者のタイミングを外す工夫を試みるなどクレバーな一面も見せ、試合後に「細かいところは意識せずに抑えていけば良いかなと。ゾーンとか考えすぎずに真っ直ぐでしっかり攻めれば向こうは絶対に意識してくる」と淡々と語った。

 今は武器である直球を思い切り捕手のミットに投げ込む。明確にしたテーマをきっちりと実行し、結果で体現する姿に驚いた。そして、次を見据えることも忘れなかった。

「プロの1軍だと考えたら詰めが甘い。もっと精度を高めたい」

 ゾーンに関して"考えすぎなかった"3か月前から、先のドラゴンズ戦では「ゾーン内でしっかり勝負していく」ことをテーマに掲げているあたりにも、課題の変化がうかがえる。対峙するバッターもプロに変わり、投じる1球、1球が経験値となって若き豪腕の進化を促しているのだ。
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「イメージ」を、そのまま実際の「動き」に変えられるポテンシャル