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同僚投手を気遣っての不満顔だった。大谷翔平の降板の舞台裏をネビン監督代行が告白「まだ投げられると言っていた」

THE DIGEST編集部

2022.08.10

自身もピッチャーライナーが足を直撃して顔をしかめていた大谷(左)。それでもマウンドに立ち続けようとした偉才にネビン監督代行(右)も脱帽した。(C)Getty Images

自身もピッチャーライナーが足を直撃して顔をしかめていた大谷(左)。それでもマウンドに立ち続けようとした偉才にネビン監督代行(右)も脱帽した。(C)Getty Images

 何よりも「フォア・ザ・チーム」。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の身上が垣間見えるシーンがあった。現地時間8月9日に敵地で行なわれたオークランド・アスレティックス戦で、二刀流スターは「2番・DH兼投手」として先発登板。6回無失点と小気味よく投げ込んだ。

 決して本調子ではなかった。3回には相手バッターのピッチャー返しが左すねに直撃。本人も「しんどいかなとは思いました」と振り返ったように苦しいマウンドとなったが、背番号17は91球を投げ抜いた。

 そして迎えた7回にも大谷はマウンドに上がろうとした。だが、ベンチから飛び出したエースをフィル・ネビン監督代行が「ちょっと待て」と言わんばかりの勢いで制止。これに大谷は少し険しい表情を浮かべると1分ほどの会話を交わした末にベンチへと引き下がった。

 交代を命じられたことへの不満か――。指揮官に向けた表情からはフラストレーションすら感じ取れた。だが、この時に浮かべた顔には、チームを背負う大黒柱なりの理由があった。
 
 試合後に地元放送局『Bally Sports West』などのフラッシュインタビューに応じたネビン監督代行は、「足にライナーが当たって、そこに痛みが少し出てきたと言っていたから交代させた。レントゲンの結果は問題なかったが予防的な交代だ」と説明。そのうえで、降板時に大谷と交わした言葉を明かしている。

「マウンドから下げさせたのは、とにかく怪我のリスクを考えてのものだ。アンパイアにもそう説明はした。ただ、ショウヘイは故障明けだったハーゲットに急な準備をさせたくなかったからベンチから出た。『まだ投げられる』とも言っていた。守ろうとしていたんだと思う。ハーゲットの登板においてショウヘイとの連携が完璧ではなかったね」

 2番手としてマウンドに立ったジミー・ハーゲットは今月2日に、戦線に復帰したばかり。大谷はそんな同僚投手のコンディションを気にかけたのである。

 ある意味で満身創痍だった自分ではなく仲間を気遣う。その大谷の姿勢にはネビン監督代行も「彼はとても良いチームメイトだ。彼がやっていることに慣れてはいけないといつも思っている」と、ただただ感嘆の言葉を述べるしかなかった。

構成●THE DIGEST編集部

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