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MLB

シンダーガード、イグレシアス、マーシュを放出したエンジェルス。イグレシアスの不良債権化阻止はメリットだが、戦力的な見返りは微妙<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.08.03

デッドライン・トレードでチームを去ったシンダーガード、マーシュ、イグレシアス。中でもマーシュの放出は意外だった。(C)Getty Images

デッドライン・トレードでチームを去ったシンダーガード、マーシュ、イグレシアス。中でもマーシュの放出は意外だった。(C)Getty Images

 大谷翔平はトレードされなかった。だが、エンジェルスは8月2日のトレード・デッドラインまでに先発投手とクローザー、そして将来有望な外野手を放出した。

“マイティ・ソー”ことノア・シンダーガードをフィリーズへ、昨オフに延長契約を結んだばかりの守護神ライセル・イグレシアスをブレーブスへ、そして期待の若手外野手ブランドン・マーシュをシンダーガードとは別のトレードでフィリーズへそれぞれトレードしたのだ。

 昨オフに1年契約で加入したシンダーガードについては、チームが失速して下位に沈んだ時点からトレードは既定路線だったが、驚きだったのはマーシュの放出だ。ここまで93試合で打率.226/出塁率.284/長打率.353と不振だったとはいえ、まだ24歳。将来性は以前から評価されていてたし、最短でも27年まで保有できるとあって見切りをつけるには早かった印象は拭えない(同じ若手外野手でも、ジョー・アデルの方を放出すべきだったという声も聞こえてきそうだ)。

 交換要員で得たローガン・オホッピーは赤丸急上昇中の22歳の捕手で、現在は2Aに所属。今季はここまで2Aで74試合に出場して15本塁打、出塁率.385、OPS.877という好成績を残し、7月のオールスター・フューチャーズゲームにも出場した。
 

 もっとも、メジャーに昇格するのは早くても1年後。レギュラーに定着するのはおそらくもっと先で、大谷のFA権取得までに戦力を最大化するという視点からはフィットしない。ペリー・ミナシナンGMのコメントなどはまだ出ていないが、なぜマーシュを見限ったのか、いまひとつ球団の意図がよく分からないトレードだ。

 シンダーガードのトレードでは、マーシュと同じく24歳の左の外野手ミッキー・モニアックを獲得。何と2016年のドラフト全体1位指名選手だが、プロでは期待を裏切るシーズンが続き、現在では「第4の外野手がせいぜい」と言われている。現に今季も18試合で打率.130、OPS.336という成績にとどまっていて、マーシュ以上の成績は期待できそうにない。

 イグレシアスの代わりに得たのはベテラン中継ぎ投手のジェリー・チャベスと先発左腕のタッカー・デビッドソン。デビッドソンは将来性は先発4~5番手で、現在のチームで言えばパトリック・サンドバルとホゼ・スアレスの間くらいが現実的な期待値だろうか。ただ、イグレシアスの割高な契約(23~25年の計4800万ドル)を不良債権化する前に整理できたのは非常にメリットが大きい。

 今回のトレードをまとめると、1「マーシュを見切った意図が不明」、2「オホッピーは数年後の正捕手として期待」、3「イグレシアスの不良債権化阻止はメリット大」といったところだろうか。ナショナルズはホアン・ソトを放出して一気にプロスペクトの宝庫になったが、エンジェルスはそのようなこともなく、来季以降の戦力向上という点ではあまり大きな実りはなかったと言わざるを得ない。

構成●SLUGGER編集部

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