第104回全国高校野球選手権大会も９日目が終了。ベスト16が出そろったこの日に登場した、プロ注目の選手たちの活躍ぶりを振り返る。

●山浅龍之介（聖光学院３年／捕手）：４打席３打数１安打１死球

　守備ではエースの佐山未来を好リード。横浜打線をわずか５安打に抑え込み、その強肩で機動力も発揮させなかった。打撃では第１打席にあわやホームランという特大のライトフライを放つと、第２打席には勝ち越しの起点となるツーベースでチャンスメイク。ヒットはこの１本に終わったが、鋭いスイングで快打を連発し、改めてその能力の高さを見せた。

●芝本林平（社３年／投手）：3.1回３安打０失点２奪三振０四死球

　１回戦は登板がなく、この日も最初は外野での出場となったが、５回途中からリリーフでマウンドに上がると、二松学舎大付打線の勢いを止めるピッチングを見せた。戸郷翔征（巨人）を彷彿とさせるテイクバックの大きいフォームで、ストレートはコンスタントに140キロ台をマーク。

　130キロ台のカットボールと120キロ台のスライダーを上手く投げ分け、バットの芯を外すことができる。課題だった制球もこの日は四死球０と安定感を見せた。大学進学が濃厚とのことだが、４年後が楽しみな好素材である。
  ●松尾汐恩（大阪桐蔭３年／捕手）：７打席５打数４安打２本塁打５打点

　今大会の野手では浅野翔吾（高松商）と並ぶ存在。その浅野が11日の佐久長聖高戦で２打席連続本塁打を放った活躍に触発されたか、この日は松尾自身も２打席連発を含む４安打５打点の大活躍で、チームの大勝に大きく貢献した。

　これで甲子園では昨夏、そして今春に続き、３季連続のホームラン。甲子園通算本塁打数も世代でトップの５本となった。浅野に比べると細身に見えるが、それでもスイングの鋭さは圧倒的なものがあり、４安打全てが打点付きという勝負強さも見事という他ない。３回戦以降も、厳しいマークの中でどこまで成績を伸ばすかに注目だ。

文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも多くの選手やデータを発信している。

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