高校野球

仙台育英2年生投手・高橋は来年ドラフトの上位も狙える。明秀日立・石川は3度の登板以上にバッティングで活躍【甲子園10日目のプロ注目選手たち】<SLUGGER>

西尾典文

2022.08.15

2年生とは思えぬ存在感を示す仙台育英・高橋(左)。投打二刀流で活躍を見せた明秀日立・石川(右)の評価は? 写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 第104回全国高校野球選手権大会も大会第10日が終了。3回戦の4試合が行われ、ベスト8の半数が出揃ったが、この日に登場したプロ注目の選手たちの活躍ぶりを振り返る。

●高橋煌稀(仙台育英2年・投手):3回 被安打2 0失点 2奪三振 0四死球
 
 下級生が多いチームにあって、投手で最も存在感を示しているのがこの高橋だ。初戦の鳥取商戦は先発で5回を被安打1無失点の好投。この日は2点を追う7回からリリーフとしてマウンドに上がり、3イニングをゼロに抑えてチームの逆転勝利を呼び込んだ。
 
 長身だがフォームのバランスが良く、高い位置から腕が振れ、140キロ台のストレートはスピード、角度ともに申し分ない。両サイドに投げ分けるコントロールも備えている。来年コンスタントに145キロを超えるようになり、変化球もレベルアップすれば有力候補になる可能性は高いだろう。
 
●石川ケニー(明秀日立3年・外野手兼投手):[投球]4.2回 被安打4 2失点 7奪三振 3四球/[打撃]5打数3安打1打点

 この日はエースの猪俣駿太との小刻みな継投で3度マウンドに上がったが、目立ったのは4番に座ったバッティングの方だ。それほど上背があるわけではないが、下半身が強く、振り出しの鋭いスウィングでスムースに強く引っ張ることができる。惜しくも試合は敗れたものの、ツーベース2本を含む3安打とさすがの活躍を見せた。

 投手としての才能も捨てがたいが、現時点でどちらかと言えば、野手の方を推すスカウトの方が多い印象だ。進路は未定とのことだが、プロ志望なら指名の可能性も十分にあるだろう。

●山田陽翔(近江3年・投手):7回 被安打4 1失点 9奪三振 2四球

 2回には2死走者なしから足を使った攻撃に苦しんで先制されたが、1・2回戦と同様に見事に立ち直り、チームを勝利に導いた。前回の登板で149球を投げ、中2日ということで疲労を心配する声は多かったものの、フォームの躍動感は試合中盤以降でも落ちることなく、ここ一番で投げ込む140キロ台中盤のストレートは威力十分だ。

 さらに4番としても1点リードの7回裏に満塁ホームランを放って試合を決定づけた。まずは投手として勝負することになりそうだが、野手でも潰しがきくというのは大きなプラスと言えそうだ。
【動画】近江キャプテン・山田が試合を決める満塁ホームラン!

文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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