去る８月19日、ロサンゼルス・エンジェルスのペリー・ミナシアンGMは、地元紙『LA Times』などの取材で大谷翔平のWBC参戦の可能性を問われ、こう答えた。

「もしも、ショウヘイが望むことであれば、我々はサポートしたいと思う。もちろん彼は特別な選手だからいろいろなことを話している。ただ、WBCという舞台で、多くの才能を見られることは、メジャーリーグのレベルのためだけでなく、世界中のためにすばらしいこと」

　エンジェルスの編成を取り仕切るGMのこの発言は大きな反響となった。とりわけ、野球ファンの多くは、本人が「選ばれればプレーしたい気持ちはある」と語っている背景もあり、ついに二刀流戦士が世界一を争う場に立つのだと沸き立った。

　無論、現地のメディアや識者たちも、来春に迫ったWBC参戦に向けた大谷の動向に興味津々だ。地元放送局『Bally Sports West』で解説者を務める元千葉ロッテマリーンズ監督のボビー・バレンタイン氏は、すでにマイク・トラウトとブライス・ハーパーの参戦が決定しているアメリカ代表の現状をふまえ、大きな期待を寄せた。

「トラウトやハーパーが参戦する。そこにショウヘイや、日本でホームランを打ちまくっているトッププロスペクトのムラカミも参加するとなれば、間違いなく“本物”のワールドベースボールクラシックになるだろう。メジャーリーガーとなったショウヘイが日本代表として東京ドームで戦うとなれば、本当に特別な大会になる。私ならお金を払ってでも見たいと思う」
  　球界で唯一無二の二刀流戦士で、いまやスポーツ界全体でも稀有な存在として見られるスターの参戦が持つ意味を説いたバレンタイン氏。彼はさらに「彼が日本のためにプレーするのはスペシャルだ」とし、「彼はいまや世界的スターだからね」と続けた。

「ショウヘイは世界中のスポーツファンを野球に振り向かせる。最も偉大なアスリートとして、『フットボールやサッカーではなく、今は野球なんだ』と思わせるだろうね。ナンバーワンなんだから」

　もっとも、参戦に向けた障壁がないわけではない。23年で現行契約が満了となるため、エンジェルスが今オフにトレードとして放出する可能性もある。もしもそうなれば、ただでさえ容易ではない二刀流の調整を新天地で余儀なくされるため、侍ジャパンの一員となるのは厳しくなる。

　とはいえ、今まで以上に機運が高まっているのは間違いない。それだけに本人の決断とともに、日本を率いる栗山英樹監督の意向に注目だ。

構成●THE DIGEST編集部

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