高校野球

【高校生ドラフト候補ベストナイン】難航した投手は北海道の豪腕を、激戦の捕手は大阪桐蔭・松尾汐恩で決まり。高松商・浅野翔吾も納得の選考に<SLUGGER>

西尾典文

2022.09.03

今年のドラフトを沸かせる高校生は一体? 甲子園でも存在感を放った浅野(右)、松尾(左)の他にも好素材がひしめいている。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

 9月にU-18W杯、10月には国体が行なわれるが、夏の甲子園が終わった今年の高校3年生世代のドラフト候補についてはある程度の評価が固まったのは間違いない。そこで、夏の甲子園の出場を逃した選手も含め、今年のドラフト候補という観点から各ポジションの最有力選手をベストナイン形式で選出してみたい。

【ドラフト候補高校生ベストナイン】
・投手:斉藤優汰(苫小牧中央)
・捕手:松尾汐恩(大阪桐蔭)
・一塁:内田湘大(利根商)
・二塁:大塚智也(帝京)
・三塁:内藤鵬(日本航空石川)
・遊撃:戸井零士(天理)
・外野:浅野翔吾(高松商)
・外野:西村流糸(京都外大西)
・外野:井坪陽生(関東一)


 まず選考が難しかったのが投手だ。現時点での完成度では、甲子園でも大活躍した山田陽翔(近江)が筆頭格で、サウスポーでは門別啓人(東海大札幌)なども有力候補だろう。しかし、スケールの大きさから斉藤優汰(苫小牧中央)を選出した。

 最速151キロのストレートがクローズアップされるが、アベレージも140キロ台中盤をマークし、好調時は変化球のコントロールも安定している。勝負所でしっかりギアを上げてスピードアップし、三振を奪えるのも魅力だ。育成に時間がかかるタイプに見えるが、山下瞬平大(福岡大大濠→20年オリックス1位)の高校時代と比べてもあらゆる面で遜色なく、1位指名の可能性もあるだろう。
 
 捕手は甲子園出場組だけでなく地方敗退組も好素材が多い。しかし総合的に見て、松尾汐恩(大阪桐蔭)がナンバーワンになる。

 昨秋までは少しバットを引く動きが大きく急な始動が気になったが、徐々に動きが小さくシンプルになり、対応力が向上。軽く振っているようでもヘッドが走り、遠くへ飛ばすコツを理解した感がある。守備面でも昨年から確実に成長しており、スローイングの速さは目を見張るものがある。内野手として推す声もあるが、ぜひ打てる捕手として育ててもらいたい素材だ。

 内野手は右の強打者タイプ4人が揃った。一塁の内田湘大(利根商)はフォローの大きい豪快なスイングが持ち味で、夏の群馬大会では2本塁打を放った。投手としても最速149キロを誇る強肩で動きの良さも抜群。高校では投手としての負担を考えて一塁を守っていたが、能力的には他のポジションもこなせるだろう。

 ドラフト候補に絞ると、二塁は最も手薄なポジションという印象だが、東京を代表する強打の内野手・大塚智也(帝京)を選んだ。175センチと上背はそれほどないがたくましい体格を誇り、強靭な下半身が生み出す長打力も申し分ない。夏の東東京大会では強力打線の4番に座って13打数11安打、打率.846と圧倒的な成績を残した。二塁守備も堅実でスピード感も十分。大学進学との話だが、4年後のドラフト有力候補になるかもしれない。
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外野は注目の浅野翔吾を筆頭に強打者がひしめく