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プロ野球

日本球界55本塁打の英傑5人を徹底比較! 偉大なる数字で見えてきた村上宗隆の「凄み」<SLUGGER>

藤原彬

2022.09.18

三冠王達成も見え始めた村上。この若きスラッガーはいったいどこまで凄まじいのか。過去の英雄たちと比較した。(C)THE DIGEST

三冠王達成も見え始めた村上。この若きスラッガーはいったいどこまで凄まじいのか。過去の英雄たちと比較した。(C)THE DIGEST

 去る9月13日に村上宗隆(ヤクルト)が今季55本目の本塁打を記録した。過去に「55」の大台を叩き出したのは、1964年の王貞治(巨人)、2001年のローズ(近鉄)、02年のカブレラ(西武)、13年のバレンティン(ヤクルト)の4人。そんな英雄たちに22歳の若武者は居並んだのだ。

 ここでは、過去に「55」の大台をクリアした4選手と村上をさまざまなデータで比較してみる(※村上の成績は9月17日時点)。

■本塁打率
1. バレンティン 7.3
2. 村上宗隆 8.0
3. カブレラ 8.1 
4. 王貞治 8.6
5. ローズ 10.0

 13年にプロ野球記録の60本塁打を放ったバレンティンは、7.3打数に1本の割合でアーチを量産。村上の8.0はそれに次ぐ水準だ。村上が本数で単独2位に浮上するのは、もはや時間の問題だろうが、3位のカブレラとは僅差の生産ペース。現在の位置を維持できるかも密かに注目したいポイントだ。

■ISO
1.バレンティン .449
2.村上宗隆 .421
3.カブレラ .420 
4.王貞治 .400
5.ローズ .335

 ISOは長打率-打率で算出する指標で、純然たる長打力を図るには長打率より優れているとされる。もっとも、それぞれでプレーした時代が違うため、対戦投手の力量差や球場特性の違いなどまでは計算に含められない。それでも結果だけを見れば、村上は過去の大打者たちでも上位のパワーを発揮している。こちらもバレンティンの壁は高いが、ラストスパートがあれば1位に躍り出る可能性も残っている。
 
■リーグ全体における本塁打の割合
1.村上宗隆 8.7%
2.バレンティン 8.4%
3.王貞治 7.6%
4.カブレラ  6.3%
5.ローズ 5.4%

 度々話題に挙がっているように、今季は「投高打低」が顕著なシーズンだ。必然的に、本塁打1本あたりの価値も高くなる。村上の55本はセ・リーグ全体の8.7%に達し、過去の55本超え4人を上回る数値だ。

 また、村上は本塁打数リーグ2位の岡本和真(巨人/27本)に倍以上もの差をつけている。これも他の4人にはなかったことで、いかに"ホームランバッター"村上が歴史的に傑出しているかがよく分かる。

■OPS
1.バレンティン 1.234
2.村上宗隆 1.226
3.カブレラ 1.223
4.王貞治 1.176
5.ローズ  1.083

 また、総合的な打力を示す指標にまで視点を広げても、村上は5人のトップに立つ可能性がある。出塁率と長打率の和で求めるOPSでは、バレンティンに肉薄する2位。その差はわずか.008で、今後追い抜く可能性も十分ある。先述したように、今季のセ・リーグが投高打低であると考えれば、ここでも相対的な価値はさらに上がると考えるべきだろう。

■BB/K
1.王貞治 1.47
2.村上宗隆 0.981
3.バレンティン 0.980
4.カブレラ 0.85
5.ローズ 0.59

 本塁打を積み重ねるには、パワーだけでなくボールを見極める選球眼も必要だ。三振と四球の比で求めるBB/Kは、選球眼とバットコントロールを併せ持つ選手が数値が高くなる。レギュラー1年目は三振率が30%を超えていた村上だが、徐々にスイングの精度が増して今季はここまで19.6%。

 一方で相手の警戒もあって四球も増え、今では四球と三振の割合がほぼ同じとなっている。64年の王は119四球に対して三振わずか81で、当時から完成されていた。逆に01年のローズは83四球で140三振。空振りを恐れず長打を狙うスタイルが顕著だった。

 シーズンは残り14試合。全日程を終えた時、村上の最終成績には一体どのような数字が並ぶのか。最後まで目が離せない。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。

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