プロ野球

濱口遥大はいかにして“暴れ馬”から脱却したのか。6年目の進化の「秘密」【DeNA】

萩原孝弘

2022.09.23

これまで制球難にあえぎ続けた濵口。今季、劇的に改善した理由とは一体? 写真:萩原孝弘

 快進撃を続けた8月のDeNA。表ローテーションの一角を占める濱口遥大は、水曜日に5回先発してチームは負けなしとゲームを作ることに成功。31日の中日戦ではルーキーイヤーの10勝に次ぐ7勝目を挙げ、チームの勢いを加速させる原動力となった。

 今シーズンの濱口は完全に一皮むけた印象がある。プロ1年目は魔球と称されるチェンジアップを軸に三振をバッタバッタと奪う反面、フォアボールも厭わない"暴れ馬"スタイルが特徴だった。日本シリーズでもあわやノーヒットノーランの快投を見せるなど、ハマった時の爆発力は誰もが認める一方で、コントロールに大きな欠点があり、なかなか安定感はなかった。

 ところが今季は、昨年までの通算与四球率5.12だったのが3.17と劇的に改善している。フォアボールが減ることで球数も少なくなり、投球回数も増加。コロナ罹患明けの6月こそ苦しんだが、7月と8月の与四死球率は1.52、QS率は88.9%と制球力&安定感という課題が解決しているのだ。
 
 9月7日の巨人戦で3.2回10安打11失点と大炎上したものの、16日の広島戦では負け投手にこそなったが、5回まで2安打無失点。7回途中で無念の降板となったが、三浦大輔監督は「ボールの強さ、キレもあった」と前回からの立て直しを評価した。

 濱口は制球面の良化に「長年取り組んできた真っ直ぐの質の向上」を真っ先に挙げた。三浦監督も以前に「スピード以上にしっかりと腕が振れている」と評しているように、投球の約半分を占めるストレートが今シーズンは最速でも147キロ。150キロに届く剛球は影を潜め、ほぼ140キロ前半から中盤を行き来しているが、しっかりと打者を押し込めている。

 斎藤隆ピッチングコーチも「彼はベイスターズの中だけではなく、セ・リーグの中においてもかなり特殊なピッチングスタイルで、ただ数字に現れるスピードだけでは計れない。バッターはタイミングを取る難しさを感じている」と、ボールの質の向上に加え、小柄な左腕ながら投げ下ろす稀有なスタイルも好転の原因と分析した。

 さらに濱口は、「今年はチームとしてゾーンで勝負していこうという取り組みがある」と明かし、「僕だけではなくて、先発ピッチャーだけでもなく、ブルペン陣のピッチャーも含め、バッテリーでどんどん勝負していこうという空気、雰囲気がある。僕もそれに乗っからせてもらってます」と、逃げない姿勢も大きいとした。
 
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