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「父さん、母さんと繋がってないのは血だけ」――アーロン・ジャッジをスーパースターに押し上げた両親との絆<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.10.07

息子ジャッジ(右)の偉業をスタンドで見届けた母パティ(左)。血はつながっていなくとも絆は誰よりも強い。(C)Getty Images

 現地10月4日、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)は、敵地でのレンジャーズ戦の初回に今季62号となる本塁打をレフトスタンドに叩き込んだ。ロジャー・マリスのア・リーグ記録を更新する一発を放ったその瞬間を、ジャッジの両親はスタンドで見届けていた。これまで2週間以上も観戦を続け、歴史的ホームランを誰よりも待ち望んでいた母親のパティが見せた安堵の表情は、とくに印象的だった。

 パティ、そして父ウェインとの間に血の繋がりがないのは有名な話だ。ジャッジは生まれて2日目に、今の両親のもとに養子として引き取られた。この事実を本人が知ったのは10歳になってすぐ。「なぜ両親と自分が似ていないのか」を訪ねた時に教えてもらったのだという。

 幼少期に自分が養子だと知れば、実の両親について色々と知りたくなりそうなものだが、ジャッジ場合は違った。

「両親は僕の質問にすべて答えてくれた。それだけで満足だった。この2人だけが、僕の知っている唯一の"両親"だったんだから」

 彼はインタビューでそう答えている。ともに教師だった2人のもとで、ジャッジは愛情たっぷりに育てられた。
 
 そして、ジャッジは「両親がいなければ、僕はヤンキースの一員にはなれなかっただろう」とも語っている。彼の野球を教えたのは父のウェインで、仕事を終えて家に帰った後、疲れているのもかまわず、毎日のようにキャッチボールをした。高校の時にバスケやアメフトもプレーしていたジャッジが最終的に野球を選んだのも、「野球選手の方がキャリアが長い」との父の助言に従ったからだ。

 ジャッジが自身のツイッターアカウントに聖書の言葉を掲げているのも、やはり敬虔なカトリック教徒でもある両親の影響だ。「父さん、母さんと繋がっていないのは血だけ。心はいつも一緒さ」と語るほど、絆は強い。

 61号を放った試合後、ジャッジは母へ記念ボールをプレゼントした。そして、ニューヨークのテレビ局『YES Network』のインタビューで、「僕は家族無しでは何もできない。僕がここにいる理由であり、僕が僕である理由なんだ」と改めて家族への愛を強調していた。マリスの記録を破っただけでなく、愛する両親の前で62号を打てた事実もジャッジは誇りとしているだろう。

構成●SLUGGER編集部

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