プロ野球

過去10年で「最も成功」したドラフトは? 2人のMVPを輩出した西武、山本由伸を4位指名したオリックスも忘れがたい<SLUGGER>

出野哲也

2022.10.14

過去10年で最も成功したドラフトは何年のどの球団なのだろうか。上位いずれも共通しているのはMVP受賞者を輩出している点だ。写真:THE DIGEST

 10月20日に迫る今年のプロ野球ドラフト会議。ここでの指名が今後の球団の趨勢を大きく左右するが、果たして2012年から21年までの過去10年のドラフトで最も成功/失敗した指名は「どの年のどの球団」なのだろうか。今回は最高の指名となったトップ5を紹介する。

ベスト1位:2013年西武
1位 森友哉(捕手)←大阪桐蔭高
2位 山川穂高(内野手)←富士大    
3位 豊田拓矢(投手)←TDK
4位 金子一輝(内野手)←日本大藤沢高
5位    山口嵩之(投手)←トヨタ自動車東日本
6位    岡田雅利(捕手)←大阪ガス    
7位    福倉健太郎(投手)←第一工業大

 MVP選手を同時に2人獲得できたのだから、これ以上に理想的なドラフトはない。1位の森友哉(大阪桐蔭高)は19年、捕手としてはパ・リーグ54年ぶりの首位打者となり、2位の山川穂高(富士大)は前年の18年に47本塁打でタイトルを獲得して、それぞれMVPに輝いた。同一年の1・2位指名が2年続けてMVPになったのは、1975・76年の阪急(68年2位加藤秀司・1位山田久志)以来だった。

 しかも森は単独指名。超高校級捕手との評判で、本来なら競合クラスだったところ、松井裕樹(桐光学園高→楽天)、大瀬良大地(九州共立大→広島)らの好投手に人気が集中したのも西武にとって幸運だった。その後も森は21年に打率リーグ2位、山川は今季3度目の本塁打王に輝くなど活躍を続けている。また、6位では信頼度の高い控え捕手に成長した岡田雅利(大阪ガス)も指名している。
 
ベスト2位:2017年ヤクルト
1位    村上宗隆(捕手)←九州学院高    
2位    大下佑馬(投手)←三菱重工広島    
3位    蔵本治孝(投手)←岡山商科大    
4位    塩見泰隆(外野手)←JX-ENEOS    
5位    金久保優斗(投手)←東海大付市原望洋高    
6位    宮本丈(内野手)←奈良学園大    
7位    松本直樹(捕手)←西濃運輸    
8位    沼田拓巳(投手)←石川ミリオンスターズ    

 清宮幸太郎(早稲田大→日本ハム)のクジを外したことが、ここ10年で最高レベルの大成功をもたらしたのだから、何が幸いするか分からない。もちろん、村上宗隆(九州学院高)は外れ1位でもヤクルト以外に巨人と楽天も入札したくらいの逸材だった。とはいえ、三冠王と本塁打の日本人新記録を同時に達成するほどの大打者に成長するとは、誰も想像していなかっただろう。

 村上だけでも大成功と言っていいが、4位では塩見泰隆(JX-ENEOS)も獲得。こちらも21年に正中堅手に定着してベストナインに選ばれると、今季もオールラウンドの働きでチームを牽引する存在になっている。6位の宮本丈(奈良学園大)も貴重な控えとなり、21年の優勝には2位の大下佑馬(三菱重工広島)と5位の金久保優斗(東海大市原望洋高)も貢献。スワローズ繁栄の基になったドラフトとなった。
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日本最高の投手を4位で指名した16年オリックス