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皮肉ではなく“エースの自負”。大谷翔平らとの「プレー」を語ったヤンキースの剛腕コールの真意「この仕事は最も重い」

THE DIGEST編集部

2022.10.14

エンジェルスの大黒柱である大谷とトラウト(左)の名を出し、自身の現状を語ったコール(右)。その言葉の真意とは――。(C)Getty Images

 米球界の盟主ニューヨーク・ヤンキースのエース、ゲリット・コールが放った言葉は小さくない話題となった。現地10月11日に米メディア『The Athletic』の記事内で32歳の剛腕は、次のように語った。

「生まれ故郷(カリフォルニア)に住んで、マイク・トラウトやショウヘイ・オオタニと一緒にプレーするのは、とても素晴らしいことだったと思うよ。今日だって、自宅でバーガー用の肉を焼いて、ビールを片手に、ファンタジーフットボールをやっていたはずだよ。でも、俺はその代わり今、ヤンキースタジアムにいて、クソ早い朝10時40分からブルペンで投球練習をしている」

 クリーブランド・ガーディアンズとのアメリカン・リーグ地区シリーズ第1戦を前に公開した記事。そこに記されたコールのコメントは、国内外を問わず、多くのメディアや記者間で「皮肉だ」と捉えられて拡散された。エンジェルスの地元紙『LA Times』のビル・シャイキン記者にいたっては、「エンジェルスを買収する可能性がある方々へ。これがスタジアムから数マイルの土地で育った球界の最高の選手のチームに対する見解だ」と嘆いたほどだ。

 だが、「皮肉」という解釈にはいささか違和感がある。それはこの記事でコールは、こう語っているからだ。

「(ヤンキースのエースは)リーグで一番難しい仕事だ。エースになるのにこれほど難しいものはないと思う。リーグで最もプレッシャーがある仕事だと思うし、最も重みがある。この地区は本当にやばい。そのなかで、出来るだけ長く試合に居続けて、火の中に突っ込んでいかなきゃいけないんだ」

「この地区で、この立場でプレーすると他の地区なんてたいしたことがないと思えてくる。とくにヤンキースの勝利へのこだわりは、群を抜いている」
 
 2019年にヤンキースと9年総額3億2400万ドル(約352億3300万円)の超大型契約を締結したコール。そこから目の肥えたニューヨークのファンからの"重圧"に苛まれながら、最高の結果を求められてきた。過酷な環境下で「エース」と崇められてきた自負をふまえ、「そうなっていたかもしれない」という表現するべく、大谷とトラウトの名を引き合いに出したわけだ。

 ましてやコールは、大谷に幾度となく賛辞を送ってきた一人だ。二刀流フィーバーが米球界を席巻した昨年4月には、「これ以上ない才能の持ち主。俺もオオタニと同じくらい速いボールを投げられるけど、バッティングなんて到底できない」と脱帽していた。

 そんなコールだけに、エンジェルスを「皮肉った」と言われるのは、おそらく真意ではないだろう。少なくとも相手を攻撃するようなネガティブな意図はないはずである。

構成●THE DIGEST編集部

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