10月20日に行われるプロ野球ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。

【表】巨人 ポジション別年齢分布

【指名方針】
将来性重視

【補強ポイント】
・将来性の高い長距離打者
・現有戦力と差別化できる売りを持つ外野手
・長打力のある内野手

　2017年以来５年ぶりのＢクラスに沈んだ巨人。この結果もあって当初は即戦力重視の方針が予想されたが、いち早く浅野翔吾（高松商）の入札を公言するなど、素材型の選手を育て上げる姿勢を見せている。20年ドラフト２位で指名した山崎伊織に目途が立つなど、育成による成果が実を結びつつあることも影響しているのだろう。

　実際に、主力野手にベテランが多いこと、ファームに近い将来の主力になれそうな存在が不足していることからも、浅野のようなプロスペクト野手を確保する戦略は理にかなっている。また、中山礼都が一軍で50試合出場とファーム卒業を控えた一方で、次世代の遊撃手候補は不足している。以上の理由から、外野と遊撃に有望株を獲得し、現有戦力に刺激を与えたい。
  　まず、その一番手となれそうな浅野の打撃力は世代屈指だ。甲子園の舞台で見せたパワーだけでなく、コンタクトにも秀でており、三振も少ない。国際試合で見せた木製バットへの対応力も素晴らしく、ファームでも早々に出場機会を得られるだろう。

　また、萩尾匡也（慶応大）も春のリーグ戦で打率.339＆５本塁打を記録するなど、コンタクトとパワーを両立している外野手だ。今秋のリーグ戦でも、ここまで打率４割超え、２本塁打と好調をキープしていて、ぜひとも２位で狙いたい。もしセンターを優先する場合には、杉澤龍（東北福祉大）がおすすめだ。世代トップクラスの好守に、長打も見込めるパワーなど、レギュラー争いも期待できるポテンシャルを有する。萩尾、杉澤とも大学生なので、浅野との両取りを狙う戦略で良さそうだ。

　遊撃手は身長187cmとスケールが大きい勝又琉偉（富士宮東高）をお勧めしたい。今年は多くの遊撃手がドラフト候補に挙がっているが、打撃でパワーがあるのは、他にはイヒネ・イツア（誉高）くらいしかいない。こちらはすでにソフトバンクが１位指名を公言しているだけに、なおさら勝又は狙い目。湯浅大、中山礼都、大津綾也など、守備に強みを持つ既存選手と区別する意味でも抑えておきたい好素材だ。

【理想の指名】
１位 : 浅野翔吾（外野手／高松商）
２位 : 萩尾匡也（外野手／慶応大）
６位 : 勝又琉偉（遊撃手／富士宮東）

文●ARA

【著者プロフィール】 
Twitterでドラフトイベント｢VD4B｣｢ヨソドラ｣を主催。雑誌／野球太郎のモックドラフト立案者。主に打撃を得意分野とし、中学生を中心とした野球指導にも携わる。ツイッターIDは@arai_san_28。