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“不名誉記録”から始まった1年目。阪神からの逆輸入で快進撃続くスアレスの凄み「球界で違いを生んでいる」

THE DIGEST編集部

2022.10.18

いかなるピンチも難なく抑えるスアレス。快進撃の続くパドレスにあって、その存在はなくてはならないものになっている。(C)Getty Images

いかなるピンチも難なく抑えるスアレス。快進撃の続くパドレスにあって、その存在はなくてはならないものになっている。(C)Getty Images

「彼の出現はパドレスのポストシーズンにとって最も重要な展開かもしれない。今は誰も打てる気がしない」

 米紙『New York Post』の敏腕記者であるジョエル・シャーマン氏は、現地10月15日に行なわれたナショナル・リーグの地区シリーズ第4戦、ロサンゼルス・ドジャース打線に対峙したサンディエゴ・パドレスの“オールドルーキー”、ロベルト・スアレスの投球を目の当たりにし、そうツイートした。

 無理もない。この日だけでなく、今季のスアレスは図抜けた投球を披露しているのだ。とりわけポストシーズン進出争いが佳境を迎える9月以降の彼は圧巻の一語。失点は驚異の「0」で、奪三振率は14.17というハイアベレージ。主に7回や8回というゲーム終盤を任され、抜群の安定感を誇った。

 もっとも、出だしは決して芳しくはなかった。昨季まで2年間プレーした阪神タイガースから”逆輸入”という形で加わった剛腕だが、デビュー戦となった4月7日(現地)のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦では、先発したダルビッシュ有が勝利投手の権利を得ていた9回にマウンドに上がるも、四球、四球、死球と乱調。デビュー戦で安打/四死球を3者連続で許して、そのまま負け投手になるという実に121年(1901年のフランク・デュピー)ぶりの不名誉記録を残した。

 開幕約1か月の成績は、防御率4.66、四球率3.72と、お世辞にも褒められたものではなかった。だが、メジャーの洗礼にも彼は折れなかった。右ひざの故障から舞い戻った5月以降に徐々に成績を上げていくと、NPBでも異彩を放った圧倒的な奪三振力を武器に、パドレスの貴重な中継ぎエースとなった。
 
 決してスターダムをのし上がってきたわけではない。スアレスはメジャー球団との契約を勝ち取れなかった20代前半にはスーパーの警備員の仕事をしながらベネズエラやメキシコと活躍の場を求め続けた。そして、日本でようやくサクセスを掴みとり、今があるのだ。

 そんな彼のキャリアを「曲がりくねった旅路」と表現する米誌『Baseball America』は、こう賛辞を記している。

「どんなに厳しい逆境に直面しようとも彼の姿勢は揺るぎない。あらゆる国を転々とするなかで形成されたそれは、球界で違いを生んでいる彼の決定的な特徴だ」

 パドレスの正捕手オースティン・ノラをして「すべての仕事ぶりが美しい。投げる前の準備や姿勢も素晴らしいんだ」と言わしめるスアレス。チームがリーグ優勝決定戦にまで勝ち進むなかで、その存在感は際立っている。

構成●THE DIGEST編集部

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